2017年 10月 10日 ( 1 )

久しぶりのギンレイの2本。

まず「おとなの事情」。
これはかなりの「当たり作品」だった。

月食の夜、整形外科医のロッコとカウンセラーの妻エヴァは、ロッコの幼馴染を自宅に招待する。
タクシー運転手のコジモは結婚したばかりの若妻ビアンカを、弁護士事務所に勤めるレレは10年連れ添った妻カルロッタを連れてきたが、バツイチのペッペは一人でやってきた。
最近付き合いだした彼女を連れてくるはずだったのが、彼女が熱を出してしまったのだ。

ロッコとエヴァが料理を作りながら、会食は始まった。
そこで、食事中に携帯にかかってきた電話はすべて、みんなにも内容が聞こえるようにスピーカーフォンで対応、メールもすべて読み上げるというゲームが提案される。
ロッコは反対したが、その他のみんなが承諾したため、ゲームが始まってしまった。

ストーリーの90%以上が、ロッコとエヴァの自宅で繰り広げられる。
最初はみんな和やかに談笑しているのだが、携帯にかかってくる電話がいろいろな波紋を広げていく。
集まった7人のメンバーは、ビアンカを除けば全員40代で、ロッコとレレは夫婦生活が長い。
そうなるとだいたい、誰もが人に言えない秘密を抱えていたりする。
その秘密が、携帯にかかってきた電話やメールで少しずつ暴露されていくのだ。

しかも、この暴露の順番が秀逸。
最初はやや重要な問題であるものの、いきなり夫婦や友人の関係に亀裂が入るようなものではない。
しかし徐々にヘビーな秘密が明らかになっていき、その中には序盤のメールが大きな伏線になっていたりもする。
脚本の妙が生きた作品で、各映画賞の脚本賞も受賞しているらしい。
月食をキーワードに使った最後の落とし方も、なかなかシニカルでいい。
「大人」であれば一度は押さえておきたいおススメ作品だ。
時折こういう超掘り出し物作品が上映されるから、ギンレイを侮ることはできない。


続いて「午後8時の訪問者」。

女医のジェニーは、ある日小さな診療所で代理の診療を行っていた。
夜8時に診療所を閉め、次に勤務する病院の歓迎会に向かおうとしたとき、診療所の呼び鈴がなる。
対応しようとする研修医を「時間外」だからと言って止め、ジェニーはそのまま歓迎会に向かった。
すると翌日、警察がやってきて診療所の近くで少女の遺体が発見されたと告げる。
診療所の玄関の防犯カメラをチェックすると、そこには被害者の少女が映っていた。
もし昨夜ジェニーが診療所の扉を開けていたら、少女は犠牲にならなかったかもしれない。
罪悪感にかられたジェニーは新しい病院に勤めることをやめ、その診療所で勤務しながら少女の身元を探し始めた。

基本的にはサスペンスである。
ジェニーは警察官のように少女の身元を追い続け、やがてふとしたことから自分の患者が少女を知っていることがわかる。
そこからなんとか少女の身元を手繰ろうとするが、ジェニーが危険な目に遭ったりもする。

監督のダンデルヌ兄弟は、カンヌの常連でパルムドールも2度受賞しているらしい。
ただ、個人的には面白い作品とは思えなかった。
ジェニーが罪悪感にかられて行動すると言う部分はわかる。
だが一方で、警察だったらもっと簡単に少女の身元を判明することができたんじゃないかとも思う。
犠牲者の少女はアフリカ系で、あまり治安のよくない場所にいたらしい。
それゆえ、警察が事件を軽んじてまともに捜査をしていなかったのかもしれない。
そのあたりのフランスの事情がわからないためなんとも言えないが、ジェニーが一人で行動し続けることにかなり違和感を感じた。
またラストについても、盛り上がりに欠けちょっと淡泊すぎするように思えた。

1本目の「おとなの事情」が大当たりだっただけに、ちょっと落差にガッカリしてしまった。



111.おとなの事情
112.午後8時の訪問者



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