2017年 09月 15日 ( 1 )

原作はよく知らないが、「イキウメ」と言う劇団の演目らしい。
一般人の中に紛れ込んだ宇宙人と言う設定なので、「美しい星」に近い作品かと思っていたが、もっとSF色が強い作品であった。

女子高生のあきら(恒松祐里)はある日家族を皆殺しにされる事件に巻き込まれる。
家の中で全員が殺され、行き残ったのがあきらだけだったため、警察はあきらを重要人物として病院に隔離する。
ジャーナリストの桜井(長谷川博己)は別の事件を取材していたが、仕事を受けていた編集部からあきらの事件を取材するよう依頼される。
桜井はあまり気乗りがしなかったが、東京に戻る終電車の時間まであきらの事件の取材をする事にした。
その時、「天野」と名乗る青年(高杉真宙)と知り合う。
天野もあきらを捜しているのだが様子がおかしく、自分は地球を調べに来た宇宙人で、仲間に報告をした後地球は侵略される、それまで自分のガイドになってくれ、と言う。
桜井は天野を信じた訳ではなかったが、あきらの居場所もわからないためとりあえず天野と一緒に行動する事にした。

同時期、加瀬鳴海(長澤まさみ)は夫の真治(松田龍平)と病院に来ていた。
真治は突然様子がおかしくなり、まるで今までの記憶を失ったかのようであった。
医師からもなんらかの記憶喪失と思われ、何かのタイミングで元に戻る可能性もある、と言う診断を受けた。
真治はおかしくなる前から浮気をしていたのだが鳴海は、浮気をされてもおかしくなっても、真治の事を愛していたため別れられずにいた。
そして真治もまた、鳴海に自分のガイドになってくれと言いだした。

桜井と天野が天野の自宅を訪れると、そこには自我を失い呆けた天野の両親がいた。
天野によると、地球を知るためにいろいろな「概念」を両親から取り込んだ、「概念」を取りこまれた人間は、その「概念」が欠落してしまうと言う。
天野の言葉が信じられなかった桜井も、ようやく事態を把握し始める。
やがて二人は、あきらの隔離されている病院に行きあきらと合流する。
そして天野とあきらは、仲間と連絡を取るために通信機の作成を始めた。
そのための部品を桜井が購入しに行った時、厚生労働省の役人品川(笹野高史)が接触してくる。
しかし品川を迎えに来たメンバーは、とても役人には見えなかった。

その後、桜井、天野、あきらの3人は古い工場で通信機を作りだすが、なぜかそこに警官が現れる。
警官はあきらに職務質問するが、あきらは警官二人を殺してしまった。
桜井は動揺するが、そのまま二人と行動を共にして逃走する。

一方鳴海は、真治の面倒を見ながらイラストの仕事を続けていたが、真治に仕事をメチャクチャにされてしまう。
途方に暮れた鳴海に医師から、真治の病気の原因がウィルスではないかと連絡が入る。
鳴海と真治は病院を訪れるが、そこには自我を失った人々があふれ、さらに自衛隊が病院内を闊歩していた。

黒澤清監督らしく、独特の世界観を持つ作品だ。
特に桜井、天野、あきらの3人については、先の展開がどうなるのか想像もさせてくれない緊張感がある。
一方、鳴海と真治は二人の距離感がほどよい。
この二組のエピソードが巧くメリハリとして機能している。
主要の5人の役者の演技力も、このメリハリを強調する要因となっている。

とは言え、全体のストーリーはかなりマニア向けの作品だ。
「概念」を取り込めるのが真治、天野、あきらの3人だけのはずなのに、病院に自我を失った人があふれているなど、整合性が取れない部分もかなりある。
何かの映画賞を取る可能性は高いと思うが、一般的にはちょっと評価されずらい作品だと思った。


104.散歩する侵略者


※こんな本書いてみました。
よろしかったらご購読ください



●放射能ヒステリックビジネス

http://www.amazon.co.jp/%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E3%83%92%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9-%E4%BD%90%E8%97%A4%E7%9D%A3%E8%AA%8C-ebook/dp/B00DFZ4IR8/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1404017694&sr=8-1&keywords=%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E3%83%92%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9
[PR]