2017年 07月 31日 ( 1 )

「君の名は。」のBR発売に合わせて放送された、「雲のむこう、約束の場所」を録画して見る。

舞台は1996年の青森。
中学3年生の藤沢浩紀と白川拓也は、2年生の頃から二人で小型飛行機「ヴェラシーラ」の制作を行っていた。
協力してくれるのは岡部が社長を務める蝦夷製作所で、二人はバイトをしつつここから部品の調達も行っていた。
浩紀は同級生の沢渡佐由理に想いを寄せていたが、ある日佐由理に飛行機制作の秘密がばれてしまう。
佐由理は二人の仲間となり、ヴェラシーラが完成した際には蝦夷にある塔まで飛行しようと約束する。

この頃の日本は、南北に分断されていた。
かつて北海道と呼ばれていた地は1970年代からユニオンと言う国家に支配され、呼称も蝦夷と変わっていた。
そしてユニオンは蝦夷の中心に、あたかも軌道エレベーターのような高い塔を建設していた。
三人が目指していたのは、この蝦夷にある塔だった。

3年が過ぎ、拓也は在日米軍のアーミー・カレッジに所属していた。
拓也はここで、蝦夷の塔の秘密を調査していたのだ。
米軍の調査によると、塔は並行宇宙の実在を証明した天才物理学者、エクスン・ツキノエが設計したもので、この塔を中心に並行宇宙とのシンクロを行っていた。
拓也は塔の調査をすると同時に、反ユニオンのゲリラ組織ウィルタ解放戦線にも所属していた。
ウィルタ解放戦線は、日本が南北分裂した際に家族が引き裂かれた者を中心に構成され、その中心人物は蝦夷製作所の社長岡部だった。

一方浩紀は、東京の高校に進学していた。
ヴェラシーラを制作していた中学3年生の夏休みに、突如佐由理が行方不明になってしまい、悲しい思い出のある青森を離れたかったからだ。
浩紀には東京で彼女と呼べる存在もいたのだが、どこか満たされない生活を送っていた。
そしてたびたび、不思議な世界に一人で取り残され救助を求めている佐由理の夢を見た。

行方不明になった佐由理は、東京の病院にいた。
元々持病であった睡眠障害が深刻化し、中学3年生の夏休みから昏睡状態になっていたのだ。
だが佐由理の昏睡はただの睡眠障害ではなく、並行宇宙とシンクロする蝦夷の塔と深い関係がある事がわかっていた。
佐由理は塔の設計者、エクスン・ツキノエの孫だったのだ。
そして佐由理は、昏睡状態になる直前、浩紀に手紙を書いていた。
その手紙を岡部経由で入手した浩紀は、佐由理が入院している病院に向かう。
しかし佐由理はすでに青森のアーミー・カレッジに転院した後だった。
空っぽの病室に入った浩紀は、そこで佐由理の意識と触れあう。
昏睡状態で不思議な世界にいる佐由理を救うため、浩紀は佐由理と約束した、ヴェラシーラで塔へ飛行しようと考える。

「秒速5センチメートル」や「言の葉の庭」はSF要素がなく、「君の名は。」もタイムスリップ物ではあるものの、登場人物の設定部分はかなりリアルであった。
だがこの作品は、中学3年生の二人が飛行機を作り始めるところからかなりSF要素が強く、かつ状況設定も南北分断された日本である。
メインテーマもパラレルワールドで、非常にSF色の強い作品になっている。

作品としては、この設定されたテーマを巧く使ってとても手堅くまとまっている。
新海誠特有の色彩の美しさは、この作品でも際立っている。
ただ、ちょっと手堅くまとめ過ぎているかな、と言う感じもした。
今から13年前、監督して長編作品2作目という事を考えれば、かなりいい作品だと言えるだろう。
ただ、ユニオンについてほとんど語られていないため、なぜ反ユニオンのウィルタ解放戦線が組織されたのか、そしてなぜ、連合軍とユニオンが戦闘の危機になっているのかがよくわからない。
そのため、残された時間が少ないと言う危機感も、ちょっと薄くなっている。

非常に綺麗にまとめられている分、もう少し感動も欲しかったかな、と言う気がした。


86.雲のむこう、約束の場所


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