2017年 06月 11日 ( 1 )

「花戦さ」

劇場での予告編も流れておらず、監督の篠原哲雄の過去の作品も個人的にはいま一つに感じていた。
主演が野村萬斎だからまあ観ておくかな、程度であまり期待しないで観に行ったが、非常に骨太で大人な作品に仕上がっていた。

織田信長(中井貴一)が飛ぶ鳥を落とす勢いだった天正元年、池坊専好(野村萬斎)は一門の中でもやや変わり者の扱いを受けていた。
師匠から信長のために花を生けてこいという指示を受けた時も、信長の気性を知っていた師匠が、専好だったらなんとかできるんじゃないか、と考えたうえで専好を選んでいた。
実際、専好は信長の前で失態を演じるのだが、その時末席に名を連ねていた秀吉(市川猿之助)の機転でなんとか難を逃れる。

時は流れ、信長は本能寺の変で光秀に討たれ、時代は秀吉の天下になっていた。
師匠亡きあと、専好は兄弟子が旅から戻らないと言う理由で、一門の長となっていた。
しかし変わり者の専好に取って、一門の長と言う地位はあまり気持ちのいいものではなかった。

そんなある日、専好は河原で一人の少女を保護する。
何も喋らない少女に蓮(森川葵)と言う名前を付け、彼女が欲するがままに画を描かせていた。
また別の日に、専好は利休(佐藤浩市)からの招きを受ける。
専好の生け花を見た利休が自分の茶室に招き、そこから二人の交友がはじまった。

利休はその当時、秀吉から黄金の茶室を作るように命じられていた。
利休は、秀吉が天下を取ってから人間性を大きく変えた事を危惧し、なんとか諌めたいと思っていた。
しかし秀吉は利休の言葉に耳を貸そうとしない。
そして利休が黄金の茶室を作ると、秀吉は北野大茶湯を開催、自ら人々を茶でもてなすのであった。
ところがその北野大茶湯では秀吉以外にも様々な人間が茶を振る舞っており、その中に利休も野点で参加をしていた。
利休は自らの野点を花で彩ってほしいと専好に依頼、専好は見事に自然と調和した彩りを完成させた。
その利休の野点を見てへそを曲げたのが秀吉だった。
秀吉は北野大茶湯を1日で中止してしまう。

この一件から、秀吉は露骨に利休を毛嫌いするようになる。
やがて秀吉は大徳寺山門に設置された利休の木造を理由に、利休に切腹を申し付けようとする。
その気配を察知した前田利家(佐々木蔵之介)は、秀吉に詫びを入れるように、なんとか利休を説得してくれと専好に命じた。
戸惑いながらも利休の説得に向かう専好。
しかし自分の矜持を貫き通す利休を、説得する事はできなかった。
そして利休は切腹を命じられるのだが、河原にさらされた利休のクビを見て、ショックを受けた専好はしばらく花を生ける事ができなくなってしまった。
そんな専好の姿を見て、親友の吉右衛門(高橋克実)が利休の四十九日を花で飾る事を提案する。
この四十九日で専好は花を生ける心を取り戻すのだが、三成に四十九日の現場を目撃されてしまう。

利休の切腹以降も、秀吉は一般民衆にも暴挙をふるうようになっており、民衆からも秀吉を非難する声が上がっていた。
秀吉は息子鶴松が急死した事もあり、民衆の非難にさらに怒り狂い、半ば暴君と化してしまった。
専好は利休の意思を継ぎ、生け花で秀吉を諌めようとする。

秀吉が利休の人気に嫉妬し、利休を切腹に追い込んだのは有名なエピソードだ。
本作はさらに、そこから華道の専好にスポットを当てている。
その専好に野村萬斎をキャスティングした点が、この映画最大のヒットとも言える。
野村萬斎は「のぼうの城」でも変わり者の城主を好演していたが、今回のちょっととぼけた専好の役もピッタリであった。
その他の役者の演技も文句はなく、脚本も良かったし、生け花の演出も素晴らしかった。
テーマが地味ではあるが、歴史好きにはたまらない作品に仕上がっている。
渋い落ち着いた映画が観たい方にはオススメである。


72.花戦さ



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by ksato1 | 2017-06-11 08:12 | 映画 | Comments(0)