2017年 06月 09日 ( 1 )

「美しい星」

原作は三島由紀夫で、発表されたのが1962年で私が生まれる前だ。
この作品をどう映画化するのかと思ったが、監督の吉田大八が見事に現代風にアレンジしていた。

気象予報士の大杉重一郎(リリー・フランキー)は、テレビにも出る人気者でアシスタントと不倫をしていた。
ある晩、深夜にアシスタントを車で送る途中不思議な光に包まれ意識を失い、気付くと夜は明けていて車はまったく見覚えのない田んぼに突っ込んでいた。
何が何やらわからない状態の重一郎は、テレビ局の屋上である男の話を聞く。
その男はUFOを探していて、日本にも多数のUFOが飛来していると言う。
重一郎は、昨夜の出来事がUFOによるもので、自分は火星人であると信じ込んでしまう。

重一郎の長男の一雄(亀梨和也)はメッセンジャーをしていたが、ふとしたきっかけで代議士の鷹森と知り合う事となる。
鷹森から誘われ事務所で働く事になった一雄だが、ある日自宅で不思議な光を浴び、その翌日鷹森と自分が殺されると言う光景を、何度も繰り返し体験するのであった。
その体験から、一雄は自分が水星人だと思い込む。

長女の暁子(橋本愛)は大学に通っていたが、自分の美しさにやや嫌気がさしていた。
ある日路上にいたミュージシャンに興味を持ち、彼を追いかけて金沢まで行く。
そして金沢の砂浜で光を浴び、自分は金星人だと思い込むようになる。

この3人がおかしな行動を取り始める。
特にテレビに出演している重一郎は、番組内で勝手に地球温暖化の危惧について語り出すようになってしまう。

原作との一番大きな違いは、母の伊余子(中嶋朋子)が宇宙人と思いこんでいない事である。
バラバラの家族の中、ただ一人まともであった母だが、会員商法で水の販売を始めてしまう。
その他、重一郎の職業を気象予報士にするなど、うまく現代社会にマッチさせている。

ただ、作品全体が何を表現したいのか、やや分かりづらくなっている。
原作は時代背景もあり、核戦争を起こそうとしている人類の愚かさを哲学的に揶揄しているのだと思うが、この映画では、単純に大杉一家だけが愚かであるように見えてしまう。
ある意味、典型的な現代社会の家族をモチーフに、どんな人間でもあっという間に狂気に落ち込んでしまうという事を表現したかったのかもしれないが、そうであったとしても、ややありきたりの展開になってしまっている。

監督、脚本が吉田大八と言う事でちょっと期待が大きかっただけに、もう少し捻りのきいた作品に仕上げて欲しかった


70.美しい星


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by ksato1 | 2017-06-09 07:14 | 映画 | Comments(0)