2017年 06月 02日 ( 1 )

この春「夜は短し歩けよ乙女」が公開されたものの評価が低かった湯浅政明。
オリジナルのこの作品で捲土重来なるかと思ったが、この作品でも思いっきり外してしまった。

人魚伝説のある鄙びた田舎の漁港、日無町。
人々は漁業関連か傘づくりで生計を立てていた。
中学生のカイは、水産加工業の会社に勤める父、傘作りの祖父と暮らしていた。
DTMが得意で打ち込んだ音楽をネットに上げる毎日だったが、同級生の国男と遊歩にバンドに誘われる。
社交的ではないカイはあまり気が進まないでいたが、練習場所の人魚島で練習をしていると、音楽とともに人魚のルーが現れた。
ルーの歌を聴いていると、不思議と人々は踊りだしてしまう。
内向的なカイも楽しい気分になれた。

カイはバンド活動にも力を入れ、3人は灯籠祭でライブをすることになる。
するとルーはそこでも歌って踊りだし、灯籠祭に来ていた観客もルーと一緒に踊りだした。
そしてその動画がネットにアップされてしまう。
人魚が現れたという事で、日無町は一躍有名な町になってしまった。

遊歩の祖父は水産加工会社の会長であったが、若いころに人魚ランドを作って大失敗、大きな借金を抱えていた。
ルーの動画を見て、人魚ランドを復活させようと目論む遊歩の祖父。
カイたちを説得し、オープニングイベントでルーとバンド演奏のライブを行うのだが、光を怖がるルーがパニックになってしまう。
さらに、カイたちのバンドはルーを登場させるためのフェイクで、実際にはプロのバンドが演奏をしていた。
ライブ会場は大混乱に陥り、さらに大きな災いが町を襲うことになる。

まず、主人公が人魚の少女という部分で、かなり「崖の上のポニョ」と被っている。
キャラ設定を変えればまた違った雰囲気になったのかもしれないが、純粋無垢なキャラも丸被りだ。
そしてストーリー構成も、盛り上がりに欠け、かつ強引である。
ルーが現れたドタバタに人魚伝説を組み込みたかったのだと思うが、クライマックスで町を襲う災いの描き方が中途半端で、緊迫感がまるでない。
さらに人魚伝説のネタ証しもかなり強引。
いろいろと盛り込もうと思って、結局何一つ描けてない状態になってしまった。

アニメの作りは湯浅政明らしくて面白い。
この3DCG全盛の時代にかなりベタな、しかも原色中心の色使いで描かれている。
ダンスシーンの動きは50年代のディズニーアニメを思わせるようだが、逆に今見るととてもポップで斬新だ。
だが、このアニメの良さがまるで生かされていない。
ストーリーのぎこちなさが、すべてを台無しにしてしまっている。

見どころはダンスシーンとエンディングの斉藤和義の「歌うたいのバラッド」だけと言っても過言ではない。
期待が大きかっただけに、落胆も大きかった作品だった。


67.夜明け告げるルーのうた



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