人気ブログランキング | 話題のタグを見る

久しぶりのギンレイでの2本

まずは「扉をたたく人」
朴念仁の大学教授ウォルターは、妻に先立たれて以降うっ屈した日々を送り、誰にも心を開かない。
そんな彼がとある事情でニューヨークに行くと、自分の所有しているアパートに見知らぬカップルが住んでいた。
不法滞在のため事を荒立てたくなく、すぐに荷物を持って出ていく二人。
だがなぜかウォルターは、この二人を引きとめた。
そしてジャンべ奏者のタレクからジャンべを習い、この二人に心を開いていく。

前半は、ウォルターとタレク、そしてタレクの恋人のゼイナブとの交流が描かれる。
タレクが叩くジャンべは小気味よく、聞いているだけでいい気分になる。
ウォルターがどんどんこの二人に惹かれていったのもうなづける、うまい構成だ。

このタレクが不法滞在者として拘束されてからは、タレクの母親との関係が描かれる。
これはこれでいいのだが、前半のジャンべがなかなかうまく機能していたので、後半部分でももうちょっとストーリーの中に取り入れて欲しかった。

前後半で趣きが変わるもののメリハリという感じではなく、全体としてはかなり淡泊な印象の映画だった。


続いて「愛を読むひと」

第二次大戦後のドイツ、高校生のマイケルは年上の路面電車の車掌であるハンナと一夏の恋におちる。
ある理由でハンナは突然マイケルの元を去り、次に二人が出会ったのは、大学で法律を学んでいるマイケルが、ゼミの一環で見学した法廷だった。
ハンナは戦争犯罪人として被告席に立っていた。

前半部分の二人の出会いはやや唐突だ。
マイケルが彼女の部屋にお礼に訪れた途端、いきなり二人はただならぬ関係になってしまう。
まあ、運命の出会いとはそんなものだろうか。
そしてこの二人の関係はかなり気だるい。
だがこの気だるさが、後半部分の緊張感や切なさへの布石となっている。

全体の構成は非常にいいと思うが、現在の描写はやや蛇足かな。
マイケルのカタルシスのために作られていると思うが、この物語は切ないままで終わった方が後味がよかったような気がする。

86.扉をたたく人
87.愛を読むひと




by ksato1 | 2009-11-10 21:27 | 映画 | Comments(0)