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衆議院選挙

雨が上がるのを待って、カミサンと投票に。
16時過ぎで投票率は40%に届いていなかった。
天気のせいか、意外と低調だ。
もっとも、投票所の数値には期日前投票をしている人の数は入ってないと思うので、実際にはもっと高い投票率なのかもしれないけど。

大方の見通しでは、明日から民主党が与党になる。
これで日本が変わるかと言うと、たぶん変わらないし変わって欲しくない。
民主党が日本を変えて自民党と異なる事を始めようとしたら、短くて「暗黒の3年」、長けりゃまた「失われた10年」の再来だ。

先週の日曜日の夜、NHKで各党幹部による討論会が行われた。
民主党は後1週間で政権を手中にする事が見えているのに、細かい政策がまったく整備されていない。
一番わかりやすいのが、間近に迫る「インド洋派兵」の問題だ。
自民党からこれについて「どう考えるのか」と質問されると、この期に及んで「非常にナーバスな問題なのでしっかり議論したうえで結論を出したい」と答えていた。
さすがにこれには、社民党と共産党の幹部からも失笑が漏れた。
両党から「もう来週にも与党になろうとしているのに、さすがにそれじゃマズいんじゃないですか」と、ハッキリ言われてしまう。

民主党は耳触りのいい公約を並べてはいるが、実現性については疑問符が付くものも多い。
だから政権を取ったら、整合性の合わない部分はのらりくらりとかわすつもりでいるのだろう。
「インド洋派兵」についてはその顕著たる例で、この後の日米外交の情勢を見て決定するつもりなのだ。
安保を含めた外交問題は今回の選挙の焦点にはなっていないので、選挙前にはできるだけハッキリした見通しを宣言しないようにしている。
そしてこれ自体、今までの自民党とどこが違うのだろうか?

元々、1年前に選挙対策として総理に推された麻生太郎だが、リーマンショックで解散のタイミングを逸し、その後サミット出席に固執したためズルズルと支持率を下げ続け、最後は逆ギレで総理のイスにしがみついた。
こんな人を担ぎ出すいい加減な人事をした自民党は、そのツケを払わざるを得ないだろう。
しかしその結果として、帳尻合わせが国民に回ってくるのは避けてもらいたい。

もろ手を挙げて自民党を支持するわけではないが、自民党の政策は日本の経済状況に合わせたものであった。
いや、自民党の政策ではなく官僚の考えた政策と言う方がわかりやすいか。
つまりは「ビューロクラシー」だ。

行政主導で始まり、年度の予算に合わせて動く経済は、終身雇用制を確立した。
年度の売り上げを見通したうえで、企業は次年度雇用計画を立てる。
終身雇用を約束された雇用者は、退職金をあてにして住宅を手に入れる事ができた。
アメリカからの外圧により、昨今この構図は崩れつつあるものの、安定した雇用を確保するのであれば、この年度予算で動く経済を大きく転換する事はできない。
週給制で、ある日突然レイオフされその日のうちに荷物を片付けて会社を去るアメリカとは、そもそも雇用形態が異なるのだ。
そして雇用形態が異なれば、生活様式も異なることになる。
いい意味でも悪い意味でも土地にしがみついて生きる農耕民族の日本人は、アメリカ式に生活様式を転換する事は不可能だろう。

ちなみに行政主導による安定雇用や健康保険などのシステムは、ルーズベルトの側近が考案し、あまりにも過激な考え方のためアメリカ本国では実施できず、戦後の日本で実験的に導入されたシステムであるとも聞く。

これまでは経済のスタートは、いわゆる「ハコモノ行政」だった。
ただ、これはこれで意味があった。
少なくとも昭和50年代までは、日本各地で様々な施設が不足していた。
小学校のトイレが水洗になり、近くに保健所や病院や図書館が建てば、住民は嬉しかったに違いない。
昭和40年代、自分の家の前の道路が舗装されたとき、近所の人は「便利になった」と喜んだ。
地方ではなく、東京の端とは言え立派な23区、江戸川区の話である。
かつては必要性があったのだから、その時代の「ハコモノ行政」を批判するのは間違いなのだ。

ところが平成の世の中となり、こういう「建設業的」な行政は重要度が著しく低くなった。
日本各地に施設がだいたい行きわたったためだ。
なので、予算をどういう方向に使うかは議論が必要だが、行政主導による経済建て直しは決して間違いではない。
そういう意味では、昭和時代の省庁と族議員の悪しきつながりを分断する省庁再編も、意味があったんだと思う。

もちろん民主党もそのあたりは分かっているから、すでに霞ヶ関筋の官僚と水面下で、具体論の下打ち合わせをしていると言う。
それならそれで安心だが、「刺客」と言う名の落下傘候補が勘違いをして、余計なダンスを踊らないかがやや心配でもある。

景気回復には国際経済が大きく関与し、そのあたりは疎いのでどうしたら実効的な施策になるのかはよくわからない。
しかしこれだけ大騒ぎして選挙をしたのだから、民主党には変な方向に進まずに、きちんとした政策で景気回復に向かうよう頑張ってほしい。





by ksato1 | 2009-08-30 18:55 | 日記 | Comments(0)