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映画2本

まず「ミルク」
1970年代にアメリカで、ゲイであることをカミング・アウトして政界に進出し、そして凶弾に倒れた男の物語だ。

ハーヴィー・ミルクはうだつが上がらない40歳のゲイ。
新しい恋人のスコットと出会い、サンフランシスコに移住する。
彼はこの地で多くの支持者を得て市政委員となり、マイノリティのために活躍する。

スコットと出会った後の8年間、ハーヴィー・ミルクの活躍は目覚しい。
だが、話の展開が早すぎてちょっと違和感を感じた。

例えば、ゲイに反対する勢力が世論の支持を受け、ミルク陣営の旗色が悪くなる。
ミーティングで「市民の支持を得るために何をすればいい?」と彼が問いかけると、ブレーンの一人が「××地区の犬の糞をなくせばいい。あの匂いはたまらない」と言う。
すると次のシーンではもう、ミルクがそのエリアの犬の糞の掃除をしながらTVカメラに向かい、「犬の糞を掃除しよう」と飼い主に訴えかける。
そして次のシーンでは「大成功だ!」と、この施策の成功を喜ぶシーンになっている。
この間わずか5分くらいか。
もちろん事実に基づいているとは思うが、正直「そんなに簡単に市民の支持を取り戻せちゃうの?」と思った。

全体の時間もあるから、いろいろと端折らなきゃならない部分もあるとは思う。
だが、あまりにもテンポが早すぎて、彼の苦労が伝わってこない。
ミルク自信が恋愛に悩むシーンは数多くあり、それは彼の政治家としてのモチベーションにつながる部分でもある。
これはこれで大事なのだが、おそらく政治家として苦悩していた彼を、もっと取上げてもよかったんじゃないかと思う。


続いて「鈍獣」
クドカンが手がけた演劇で、岸田國士戯曲賞も受賞している。
そして映画では本人が脚本も担当。
こう書くと面白そうだが、この作品を映画にすること自体がちょっと無理があったか。

幼馴染の凸川が、自分たちの少年時代を題材に小説を書いた。
それを知った江田と岡本は、凸川に執筆をやめさせようとするが、本人は「ボクじゃない」と否定する。
こちらの怒りをまったく意に介さない凸川に対し、江田と岡本は殺意を覚え、実際に殺そうと企てる。

凸川を探しに来た編集者(真木よう子)が、事件を少しずつ解明するという展開は面白い。
出演者もなかなかの好演で、笑いのポイントもそこそこ押えている。
でも、「そこそこ」なんだよね。

クドカンならではのトボけた笑いがやり過ぎで、スクリーンで見るとちょっと上滑りして見える。
「未来講師めぐる」は、かなり好きだったんだけどなぁ・・・。

女性陣はみな美しい。
40歳を超えた南野陽子だって、まだまだ十分イケる。
浅野忠信と北村一輝はもちろん、ユースケ・サンタマリアだって悪くない。
そして芝田山親方の使い方も巧い、って言うか、元横綱に弓取り式なんてさせちゃっていいの?

でも、腹から笑えなかった。
それは下ネタの使い方が、中途半端だったからかもしれない。
女性が見たらドン引きするし、男が見たらこの程度じゃねぇ、という中途半端な感じ。
初デートでこの作品観に行っちゃったら、相当キビシイだろうな、その後の付き合い方が。

エンディングで流れた「ゆずグレン」の歌だけが、やたら爽やかに感じた。

43.ミルク
44.鈍獣






by ksato1 | 2009-06-01 22:58 | 映画 | Comments(0)