人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「ザ・マジックアワー」ほか1本

忙しいけど頑張って観た2本。

おススメは「ザ・マジックアワー」だが、まずはギンレイで観た「潜水服は蝶の夢を見る」

作品は病室から始まる。
ジャン=ドミニク・ボビーは、「ELLE」の元編集長。
脳梗塞を起こして3週間の昏睡状態から目覚めるも、全身に後遺症が残り動かせるのは左のまぶただけだった。

42歳という若さでステータスもあり、人生の絶頂期を謳歌していた彼は、一転どん底に突き落とされてしまう。
その、華やかしき頃と病室の彼をフラッシュバックでつなぎ合わせ、彼がどれだけ絶望の淵にいるかを巧く表現している。
「潜水服」とは動けなくなった体の彼を表し、「蝶」とは絶頂期を再度迎えている妄想の中の彼を意味する。


ただ、それだけと言えばそれだけの作品だ。

実話を元にしているだけあって、感動的な泣かせる話だけではない。
動けない体であるものの、彼は療法士を「女性」として見ることもある。
それはそれでいいのだが、献身的に彼を見舞ってくれる元妻の前で、愛人に「見舞いに来てくれる事を心から待っている」なんて言ってしまう。
もちろん妻はショックを受ける。

絶望から見事に大仕事やり遂げた彼の精神力は素晴らしいと思うが、なにやら、そういう人間臭さの部分が逆に鼻について、個人的にはあまり感動はしなかった。


続いて三谷幸喜の「ザ・マジックアワー」

前作の「THE 有頂天ホテル」も面白かった。
ただ作品としてはパッチワークと言うか、細かいギャグを積み重ねた作品で、三谷幸喜が脚本書いてあれだけの役者を揃えれば、それは面白くなるよなぁ、という感想。
むしろ「ラヂオの時間」の方が好きだった。

しかし今回の「ザ・マジックアワー」面白い!
公開前のプロモーションで、これでもかと三谷幸喜が出まくっていたことに嫌悪感を覚えていた人も、結構多いだろう。
でもこの作品は観ないと後悔するぞ!

まず「THE 有頂天ホテル」と違って、売れない役者:村田大樹という太い筋が、作品のど真ん中に一本どかんと通っている。
殺し屋を連れて来いとボスに言われ、騙して連れてきた役者でごまかそうなんて、どう考えても強引過ぎる話だ。
だが、この村田大樹の芝居に懸ける心意気が、観ている者すべてを納得させてくれる。

とにかく佐藤浩市演じるこの村田大樹がいい!素晴らしい!
個人的にはこういう男気のあるアツいヤツは大好きだ。
彼こそ本当の役者バカだ!
もちろん、佐藤浩市の演技力があってこそ、この村田大樹が生きてくるんだけどね。

ストーリーについては、今さら私が何かを語る必要はない。
妻夫木聡、深津絵里、綾瀬はるか、伊吹吾郎の芝居をしかける側のドタバタ振りと、冷静に振る舞う西田敏行親分と寺島進以下の子分の対比が話をより面白くさせてくれるし、劇中の映画「黒い101人の女」を故市川崑監督がメガホンを取っているなど、細かいギャグもきっちり押さえている。

またラストはラストで「あの映画」っぽいのだが、丸っきりあの映画とは同じにせず、あくまでも「あの映画」っぽくしている点が、憎い演出だ。

佐藤浩市以外の役者も当然いい。
深っちゃんは「すみれ」さんより全然艶っぽいし、綾瀬はるかと伊吹吾郎の支配人を思う献身振りもいい。
当然、綾瀬の「夏っちゃん」は支配人が好きなんだよね。
小日向文世のトボけ振りと、戸田恵子のスレ具合は言わずもがな。

7月に入ると「マッハGOGOGO!」とか「ポニョ」とか「ポケモン」が始まっちゃうんで、上映も少なくなっちゃうと思うから、今のうちにぜひ映画館へ!


66.潜水服は蝶の夢を見る
67.ザ・マジックアワー
by ksato1 | 2008-06-24 23:31 | 映画 | Comments(0)