「永い言い訳」(再)

先週の「湯を沸かすほどの熱い愛」に続き、今週は「永い言い訳」だ。
昨年は邦画も名作が多かったため映画賞などの受賞はあまりないが、この作品もかなりの名作である。

封切り時に観た時は、残された者それぞれの心の隙間を表現する映画だと思っていた。
しかし全体のストーリーを把握した上で観てみると、そこにさらに、幸夫(本木雅弘)が自分の心に言い訳をしていた部分が見えてきた。
それがタイトルの「永い言い訳」だったのだ。

幸夫は妻の死を悲しめないでいたが、それは心のどこかで妻の死にほっとしていた部分があったのだ。
妻から愛人へと心が動いていたからである。
妻に対して一抹の罪悪感を感じていたのだが、その妻が事故で死んでしまった。
妻の死にほっとするなどとんでもない事で、幸夫自身もそう思い、その事を認めようとしていなかった。
だが、その気持ちを見透かしたかのように、妻の夏子(深津絵里)の未送信メールを発見する。
さらに陽一(竹原ピストル)たち家族と鏑木(山田真歩)が仲良くし始め、自分の居場所がなくなると、感情を爆発させてしまう。

そしてラスト近く、真平(藤田健心)と二人で陽一を迎えに行く列車の中で、父親に酷い事を言ったと後悔する真平に「誰だってそうなんだ」と諭す。
人間は誰しも多かれ少なかれ心のどこかに酷い事を考えているが、それを認めたくないために自分に言い訳をする。
かなり深いテーマだった。

ただ、この深い部分が列車の中の数分でしか表されていないため、1回観ただけでは見逃しがちだ。
この部分を見逃しても十分価値ある作品だと思うが、本来であれば、もう少し評価されても良かったんじゃないかと思う。

1度観た人にも、ぜひもう一度見直してもらいたい作品だ。


66.永い言い訳(再)



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by ksato1 | 2017-05-30 21:43 | 映画 | Comments(0)