「追憶」

降旗康男監督、木村大作撮影という事でかなり期待して観に行ったのだが、期待ほどではなかった。

四方篤は少年時代親に捨てられ、喫茶店を経営する仁科涼子(安藤サクラ)の世話になっていた。
そこには先に、家出をしていた田所啓太と養護施設を抜け出した川端悟がいた。
涼子の店によく顔を出す電気店経営者の山形光男(吉岡秀隆)を含め、5人は隠れるようにひっそりと暮らしていた。
しかしそこに、かつての涼子の情夫が現れる。
涼子は大阪で風俗嬢をしており、この男と一緒にいたのだ。
涼子と子どもたちの生活をメチャメチャにしたこの男に対し、3人は殺害計画を立てた。
だが子どもの計画がうまく行くはずもなく、男に逆襲されてしまう。
3人のうちの一人がナイフで男を刺し、さらに騒動に気付いた涼子が男にとどめをさした。
子どもたちを逃がし、今日から私たちは他人だと言う涼子。

25年後、少年たちは成人してそれぞれの生活を送っていた。
四方篤(岡田准一)は地元の富山で刑事となっていた。
妻の美那子(長澤まさみ)とは、美那子の流産がきっかけでうまく行かなくなり別居をしていた。

川端悟(柄本佑)は東京で結婚し、妻の家の家業のガラス店を継いでいた。
しかしこのご時世、街のガラス店の経営は思わしくなく、たびたび田所啓太に無心をしていた。

田所啓太は親元に戻り、富山で家業の土木業を継いでいた。
妻の真理(木村文乃)との間にもうすぐ子どもが生まれる予定で、かつて涼子が経営していた喫茶店を買い取
、そこに家を建てようとしていた。

そんな時、悟がまた啓太にカネを借りるため富山を訪れていた。
その際、偶然ラーメン店で篤と再会する。
25年ぶりの再開にややぎこちない雰囲気もあったのだが、二人は一緒に酒を飲んだ。
だがその翌日、悟が殺人事件の被害者となって発見される。

同僚と一緒に捜査を始める篤だが、悟が啓太にカネを借りるために富山を訪れた事を知っていた。
捜査本部にその報告をせず、独自に啓太に接触をする篤。
しかし啓太は知らない、カネも貸していないの一点張りだ。
だが捜査が進むと、啓太が悟にカネを渡している目撃情報が出てきてしまう。

巨匠の作品ではあるが、全体的にかなり雑な印象を受けた。
まず、篤が被害者である悟を知っている事を、捜査本部でまったく話をしていない。
過去の事件に触れる事になってしまうので喋れないと言う事情はわかるが、捜査が進む上で明らかになってしまう事はハッキリしているので(実際あきらかになる)、知人であると告げた上で、何かしらの取り繕いをするべきである。
篤が何も手を打たずにに啓太と接触する事に、とても違和感を感じる。

また、篤が母親、妻とうまく行ってない描写が非常にきちんと描かれているのに対し、啓太の周辺の事情があまり描かれていない。
少々ネタバレになってしまうが、最終的に啓太の周辺事情がストーリー上大きなポイントなるのに、そこはラスト15分くらいにセリフで語れるだけである。
しかも過去から現在に行きつくまでの説明がかなり端折られているので、通常ではあり得ない偶然が重なった上で、今の啓太の周辺が構築されているように思えてしまう(実際そういう設定なのかもしれないが)。
25年が経過しているのに、光男と涼子の外見がまったく変化していない点にも強い違和感を感じた。

木村大作撮影の映像は美しかったが、映画としてはあまり完成度が高いと思える作品ではなかった。


60.追憶


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by ksato1 | 2017-05-15 06:08 | 映画 | Comments(0)