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「勝手にふるえてろ」

新年一発目は綿矢りさ原作「勝手にふるえてろ」だ。
TOHOシネマズの公開予定ラインナップになかったので遠征しなきゃならないかなと思っていたら、急遽ホームにしている劇場で公開されることになった。
新年早々ラッキーだ。

綿矢りさ作品は初期の2作品だけ読んでいて、この作品は未読。
最近は作風が変わっているようで、かつ映画と原作に違いがあるかもしれないが、映画を観る限りではこの作品も前2作同様、自分の内面に主人公が葛藤するスタイルで描かれていた。

江藤良香(松岡茉優)は雪国から上京して玩具メーカーの経理部に勤めるOLだ。
中学の同級生イチこと一宮(北村匠海)に恋して以来、彼の事が忘れられない。
そんな良香に、同期で営業部のニ(渡辺大知)が告白してきた。
二は本名は「霧島」だが、伝票の「2」の文字に特徴があるため良香は二と呼んでいた。

二の事は大して気に入っていなかった良香だが、告白されたことは嬉しかった。
一方、このまま二と付き合ってイチの事を忘れられるのかと言う葛藤もあった。
良香はもう一度イチに会うため、アメリカに転向した元クラスメートを装い、クラス会を企画する。
内気な良香が目一杯の行動力を発揮して、クラス会の時に上京している仲間でチームを作り、帰京後にも会うこととなった。
首尾よく東京でもイチに会えることになった良香は有頂天になるのだが、そこでイチが自分の名前を覚えていない事を知りショックを受ける。

一方、良香はその間もニからは熱烈なアタックを受け、二と付き合う方向に心が傾く。
しかし親友の来留美(石橋杏奈)が、良香がこれまで男性と付き合ったことにない処女である事を二に話していたことが発覚。
良香は誰も信じられなくなって壊れてしまう。

綿矢りさの独特の原作を、巧く映画として仕上げている。
特に、松岡茉優を良香に抜擢した段階で、作品としては7割方成功したと言っても過言ではないだろう。
基本的に内にこもって友達は来留美だけ、アンモナイトなどマニアックな趣味に走り、恋愛は中学校からイチの妄想一筋と言う「面倒くさい女」を見事に演じている。
クールなイチに北村匠海、ちょっと鬱陶しいくらい不器用な二に渡辺大知を配したところも見事だ。
身近な人々に語りかける妄想と、中盤でミュージカルのような演出をしている点にも、監督の力量を感じる。
監督の大九明子と言う人の名は初めて聞いたが、評判のいい「恋するマドリ」の監督もしているらしい。
まだ未見なので一度観てみたいと思う。

ハリウッド大作なような派手さはないが、新年一発目に観るにはなかなかナイスな1本だった。
少なからず自分が「こじらせ系」だと言う自覚がある人にも、ぜひ観てもらいたい作品だ。


1.勝手にふるえてろ


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スカパー!

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by ksato1 | 2018-01-04 22:19 | 映画 | Comments(0)