「シン・ゴジラ」(再)

先週、地上波で放送された「シン・ゴジラ」を録画して見る。
2016年はいい映画が多かったこともあり、「オレ的映画ランキング」では7位だった。
うーん、改めて見ると、もう少しランクが上でも良かったか・・・。

この作品の特徴は、圧倒的なセリフの量である。
専門的なワードを多用し、かついかにも政治家や自衛隊関係者が使いそうな言い回しのセリフが、洪水のように流れてくる。
劇場でも2回観たのだが、良くわからなかったセリフも多かったので、今回は何度もリプレイしながら見ることにした。
そしてそうやって見ると、この映画の奥深さがさらに伝わってくる。

議会制政治の体制である以上仕方ないのだが、すべてが手続きを踏まないと先に進めない。
その事を内閣に近い人間が、一番鬱陶しく思っていたりする。
演出でも、首相、総務大臣、外務大臣が署名した法制案がうやうやしく映し出される。
それも、どちらかと言えば皮肉っぽく映されているのだ。
アメリカの特使の「この緊急事態は、外交下手の日本さえも進化させたか」的なセリフもある。
これらセリフを含めて、すべての流れに無理がない。
もちろんゴジラという存在自体がかなり無理があるのだが、もし現在の日本にゴジラが出現したら、おそらくこの映画の通りに政府は動くだろう。
法律、行政、自衛隊の体制がよく研究され、上っ面だけのタテマエ的な表現がなく、文句の付けようのない説得力でストーリーが展開するのだ。

全体の演出も素晴らしい。
最初に登場する幼体のゴジラはなんだかチャチい感じもするが、完全体に変態したゴジラは観ている者すべてを黙らせるほどの破壊力を持つ。
政治家たちも最初は保身ばかり考えているのだが、途中からは国のために身を捨てる覚悟を持つ。
まるでナイツの漫才のように、最初は「この程度か」と思わせておいて、途中から畳み掛けるようにギアを次々に上げ続け、観ている者をストーリーの中に引きずり込んでいく。
さらに細かい演出でもリアリティを追及している。
政府よりも早くSNSの住人がいち早く反応し、自衛隊のヘリコプターや航空機、新幹線や在来線など、実在の乗り物はすべてその型番付きで紹介されていた。
作品全体に庵野秀明とスタッフの、「自分が観て満足できる」作品への強いこだわりを感じた。
日本アカデミー賞で最優秀作品賞と最優秀監督賞を取っただけの事はある。

ただ、そのほかの賞も受賞しても良かったんじゃないかと思う。
少なくとも主演男優賞は、「64-ロクヨン-」の佐藤浩市より長谷川博己だったんじゃないかと思う。
助演女優賞も、個人として考えれば「湯を沸かすほどの熱い愛」の杉咲花が素晴らしかったが、石原さとみと市川実日子もどちらか一人だけのエントリーであれば、あるいは受賞できたんじゃないかと言う気もする。
圧倒的なセリフの量で、これまでの映画の常識を覆したという意味では、脚本賞もアリじゃないかと思うが、こちらはエントリーすらされなかった。
いずれにしろ、素晴らしい作品が多かった2016年の邦画の中で、やはり総合的に1位と評価されるにふさわしい作品だと思う。


130.シン・ゴジラ(再)


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by ksato1 | 2017-11-18 21:44 | 映画 | Comments(0)