「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」

「SPA!」に連載されたと言う原作は未読。
脚本、監督が大根仁という事で、当たりか外れかの2択になるのだが、予告編を観た限りでは外れの匂いがプンプンしていた。
そして結果は予想通りの外れだった。

コーロキ(妻夫木聡)はガジェット系の雑誌の編集を10年担当した後、転職してオシャレ系生活スタイル提案雑誌「マレ」の編集部に中途採用された。
子どもの頃に「Mステ」で見た、奥田民生の肩の力を抜いたユルい生き方に憧れている。

コーロキは編集部で初めて担当したタイアップ記事で、クライアントの「GOFFIN&KINGS」の広報天海あかり(水原希子)と知り合う。
この天海あかりは完璧なルックスに加え、男を勘違いさせる行動で編集者の間でも有名な存在となっていた。
そしてコーロキは、見事に天海あかりの虜になってしまう。
ストーカーのようにあかりを追い続けるコーロキだが、その努力の結果なんとか彼女にする事に成功する。
あかりはDV男と付き合っていたのだが、優しいコーロキに乗り換えたのだ。
しかしそのDV男は、編集部の先輩のヨシズミ(新井浩文)であった。
コーロキとヨシズミは気まずい雰囲気となり、ヨシズミはしばらく会社を休む事になってしまった。

休んでいるヨシズミの代わりに、コーロキは人気コラムニスト美上(安藤サクラ)の連載を担当する。
しかしこの美上は原稿のレベルは高いものの、編集者泣かせの遅筆だった。
週末にあかりと京都に旅行を計画していたコーロキは、美上の原稿待ちで新幹線に乗り遅れてしまう。
機嫌を損ねたあかりから別れを告げられるコーロキ。
未練たらたらのコーロキがあかねに最後の別れを告げに行くと、そこにはヨシズミの姿があった。

ハッキリ言って、ストーリーはありきたりで盛り上がりも何もない。
だいたい想像した通りに展開し、ラストも特に大きなどんでん返しもない。
さらにテーマもよくわからない。
コーロキは奥田民生を目指しているのだが、彼の行動に奥田民生が影響していると思われるシーンがほとんどない。
ファッションだけはユルカジ系だが、それ以外の彼の生活パターンに奥田民生の香りがまったくしないのだ。
あかりに狂わされて目指していた奥田民生を捨てるという表現もないし、単純にユルさを求める男を主人公にしたかったのなら、「奥田民生になりたいボーイ」じゃなくて「みうらじゅんになりたいボーイ」でもよかった気がする。

しかも、コーロキの仕事の進め方がとてもヌルい。
美上が「ネコがいなくなって原稿が書けない」と電話してきたのだから、編集者ならその段階ですぐに美上の所に行き、一緒にネコを捜すべきだろう。
今現在日本で編集業をしている人なら、まず100%その事を一番に考えるはずだ。
他の仕事が重なってネコ捜しに行けないのならいざ知らず、コーロキは編集部でボーっと原稿が上がってくるのを待っているだけだ。
もうちょっと細かいツッコミをすると、そもそも原稿アップを待ってデザイナーに入稿する作業は「校了」ではない。
「校了」とは「色校」までのチェックをすべて終えて、印刷所に戻す事を言う。
だから「校了」と言うのだ。
話を戻すと、コーロキが何者かよくわからず、しかもやっている事がストーカーだったり仕事がヌルかったりで、まったく感情移入できなかった。

実力派の役者を揃えているのでそれなりに作品としてまとまってはおり、ラストの立ち食いソバ屋のシーンも個人的には好きなのだが、制作者の意気込みと言うか、この作品への愛はまったく感じられなかった。
ひょっとしたら映画自体も奥田民生の生き方のように、肩の力を抜いてユルく作ったのかもしれないが、そうい事はしなくてもいいと思う。



107.奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール


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by ksato1 | 2017-09-20 23:05 | 映画 | Comments(0)