「しゃぼん玉」

今回のギンレイは「愚行録」と「しゃぼん玉」の2本。
「愚行録」はすでに観ているので、今回は「しゃぼん玉」だけ観る事にした。

原作は乃南アサで、まったく知らなかったが2017年春にシネスイッチ銀座でロードショウされた作品だ。
そこそこ期待できるかなと思って観に行ったが、なかなかの完成度の作品であった。

両親に見捨てられた伊豆見(林遣都)は、大阪でひったくりをして生計を立てていた。
しかしある晩、女性をナイフで脅そうとした拍子に相手を傷つけてしまう。
伊豆見は通りがかりのトラックに乗り込み運転手を脅し、最果ての地まで流れ着いた。

伊豆見がたどり着いたのは、宮崎県の山間の村だった。
明け方、道路に横たわっていた50ccバイクを発見し、それに乗って逃走をしようとしたところ、茂みから女性の声が聞こえた。
バイクの持ち主スマ(市原悦子)である。
伊豆見はケガをしたスマを見捨てず、なんとか彼女をバイクに乗せ自宅まで届けた。
隙を見てカネを盗んで逃げようとした伊豆見だが、スマを心配した近所の老婆たちが駆け付け、伊豆見に御馳走をすると、伊豆見は居心地がよくなりしばらく滞在する事になる。

日がな1日何もせずに数カ月過ごすと、ささくれていた伊豆見の心が穏やかになってきた。
そんなある日シゲ爺(綿引勝彦)がやってきた。
10日後に椎葉平家まつりが行われるので、その祭りで売る物を山で採るから手伝えとの事だった。
最初はあまり気が進まなかった伊豆見だが、シゲ爺に従って山に入る事にする。

やがて祭りの日がやってくる。
伊豆見は祭りの数日前から、シゲ爺とともに会場の準備を手伝っていた。
そこで美知(藤井美菜)と出会う。
美知は伊豆見に好感を持ってくれ、伊豆見も悪い気はしなかった。
祭りの準備の間に二人は距離を縮めて行くのだが、美知が半年前に大阪で通り魔の被害にあい、そのショックで椎葉村に戻ってきている事を伊豆見が知る事となる。

まず、林遣都と市原悦子のキャスティングが絶妙だ。
世を拗ねて犯罪に及んだ伊豆見が、スマの大きな心によって次第に心を溶かして行く。
二人の会話のテンポも絶妙である。
前半、伊豆見がスマの家でごろごろし続けるシーンが長いため、観ていてやや飽きてしまうのだが、その後の展開が早く、そのための布石ともなっている。
想いを寄せている美知が犯罪の被害者である事を知った後の、伊豆見の葛藤の描き方も良い。

作品の出来も良く、舞台、ストーリー展開、役者などが玄人受けしそうな感じなので、一般的にはあまり話題になってはいないものの、何かの映画賞を取っても不思議はない作品だった。


93.しゃぼん玉


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by ksato1 | 2017-08-09 21:59 | 映画 | Comments(0)