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今回のギンレイの2本

忙しかったり、上映されるのがすでに観た映画だったり、あまり興味のわかない映画だったりしたため、すっかり足が遠のいてしまったギンレイだが、今回はカンヌで賞を取った2本と言う事で観に行く事にした。

まず、コンペ部門で審査員特別グランプリを受賞した「たかが世界の終わり」。
人気作家のルイは12年前に家を出て、それ以来家族と音信不通だった。
だが余命宣告を受けたため、その事を家族に打ち明けるべく帰郷をした。

母と妹はルイを歓迎、初めて会う兄嫁もルイを温かく迎えようとした。
しかし兄のアントワーヌはなぜかイラだっており、家族の一挙手一頭足に難癖を付けてきた。
家族はオードブルや食事中に会話をするが、必ず兄がその会話を台無しにした。
ルイはその間妹、兄嫁、母と個別に話をし、最後に兄とも話をするが、どうしても兄とは話がかみ合わなかった。
そして兄は、デザートの最中にルイを強引に帰宅させようとする。
母と妹は横暴だと怒り始め、兄はさらに反発を強める。
家族が争っている中、ルイは静かに実家を出るのであった。

ハッキリ言って、何が言いたいのかよくわからない作品だ。
まず、なぜ兄がそんなにいら立っているのかがわからない。
弟に嫉妬しているのか、あるいは元々怒りっぽい性格なのか。
いずれにしろ尋常ではない怒り方なので、観ている方はかなり引いてしまう。
ルイが自分が病気である事を家族に言い出せない、と言う部分が作品の主題なのだと思うのだが、兄があれだけ怒っていれば、誰だってどんな話も言い出せないだろう。
そういう部分で、本来の主題がかすんでしまっている。
この作品が審査員特別グランプリを取ったのかと、やや疑問を感じてしまった。

続いて「エリザのために」。
こちらは監督賞を受賞している。

舞台はルーマニア。
医師のロメオには成績優秀な娘エリザがいた。
エリザは学期末のテストの成績次第でケンブリッジに留学するチャンスがあり、普通に受験すれば合格する可能性も十分あった。
しかし受験が始まる前日の朝、ロメオがエリザを車で高校に送る際、学校の少し手前でエリザを降ろすと、わずか数分の間にエリザは暴漢に襲われてしまった。
エリザが抵抗したためレイプ未遂で終わったものの、精神的ショックは大きく、初日のルーマニア語は合格点9点に対し8点しか取れなかった。
警察に被害届を出しながら、なんとか娘を留学させようと奔走するロメオ。

ロメオは、かつて彼の患者であったエリザの高校の女教師と不倫関係である事を利用し、高校の校長に再試験を掛けあったが断られてしまう。
そこで旧知の間柄の警察署長に相談すると、副市長に話を通してくれた。
副市長から校長に話が通り、なんとかエリザを救えそうになる。
しかしそのためには、エリザの答案用紙とわかるように細工をしなければならない。
その事をエリザに告げると、エリザは反発をした。
さらにロメオが不倫している事がエリザにバレてしまい、エリザはロメオの言う事全く聞かなくなる。
その上、副市長のかつての不正がばれ、検察の捜査が入る事になってしまった。
検察官はここ数日の副市長の通話履歴を把握しており、ロメオの事もすべて知っているのだった。

ロメオが少しずつ追い詰められていく様子がうまく描かれ、かなりわかりやすいストーリーである。
ルーマニアの現状や、そこから娘を救いたいというロメオの焦りも伝わってくる。
ラストは解決する部分と語られない部分があり、やや消化不良な面もあるが、現実的な着地点になっている部分も良かったと思う。
こちらの作品は監督賞を受賞していると言うのも納得できた。


91.たかが世界の終わり
92.エリザのために


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by ksato1 | 2017-08-05 06:40 | 映画 | Comments(0)