「君の膵臓をたべたい」

原作は住野よるのデビュー作で、2016年の「本屋大賞」第2位である。
個人的に「本屋大賞」は、一番信頼のおける賞だと考えている。

志賀春樹(小栗旬)は母校で国語の教師をしていたが、自分が教職にあっているかどうか疑問を感じていた。
そんな時、図書館の取り壊しが決定される。
春樹はかつて自らが在学中に図書委員をしており、蔵書のほとんどの分類を行ったのだった。

高校時代の春樹(北村匠海)は目立たない生徒で友達もいず、クラスメートも彼を名前で呼ぶものはいなかった。
教室でも常に本を読み、放課後は図書館にこもる春樹に注目をしたのが、クラスでもマドンナ的な存在の山内桜良(浜辺美波)だった。
桜良は膵臓を患っており、余命1年を宣告されていた。
にもかかわらず、常に明るく笑顔を振りまく桜良。
春樹はそんな桜良が近づいてくることに戸惑っていたのだが、桜良は構わず図書委員になって、春樹の手伝いをしようとする。
クラスでも二人は噂になり、春樹は嫌がらせを受けたりもするのだが、桜良は意に介せず春樹との関係をさらに近づけようとする。

桜良の親友の恭子(大友花恋)も、嫌がらせこそしないものの、春樹と桜良の関係を面白く思っていなかった。
しかし桜良から春樹に近づいていることがわかっていたので、春樹に対して強く意見をすることができなかった。

桜良は春樹に、次々と自分の希望を押し付けてくる。
GWには二人で泊りがけで福岡に旅行に行った。
春樹は戸惑うが、桜良の希望をかなえたいと考え旅行に同行する。
だが嘘のつけない不器用な春樹は、桜良の「私はクラスで何番目にかわいい?」という質問に、正直に「3番目」と答えてしまったりする。
桜良はちょっとがっかりするが、それでも明るく笑っていた。

桜良は文庫サイズのノートに「共病文庫」という日記を書いていた。
そこには二人の思い出がたくさん記されていた。

桜良が検査入院をしていた時、夜中に電話がかかってくる。
その様子から何かあったと考えた春樹は、病院に忍び込んで桜良と会った。
桜良の様子がおかしく、時間があまりないと考えた春樹は、検査入院の後、二人で蝦夷桜を見に行くための北海道旅行を計画する。
桜良は病院を退院した後、家で荷物をまとめ、学校の図書館に寄ってから待ち合わせ場所に来るとメールしてきた。
だが桜良が春樹との待ち合わせ場所に現れることはなかった。

全体の構図としては、「世界の中心で、愛を叫ぶ」に近い。
余命宣告された少女と主人公が、短い時間の中で思い出を積み重ねるストーリーである。
しかし決定的に異なるのは、少女のキャラクターだ。
「セカチュー」のアキも明るいキャラクターであったが、この作品の桜良の明るさは格別だ。
言葉の端々に「本当は死ぬのが怖い」という部分を見せたりもするのだが、セリフ、表情、仕草のすべてが底抜けに明るく、底抜けにピュアである。
このピュアな透明感を、浜辺美波が好演している。
TVドラマ版「あの花」のめんまを演じた時の透明感も素晴らしかったが、今回の演技も、見ていて眩しすぎるほどピュアであった。
それに対応する北村匠海の押し殺した演技も良かった。
それが本人の演技力なのか、あるいは演出によってそう見えていたのかは定かではないが、いずれにしろこの作品の中ではピッタリとハマっていた。
脇役の一晴役に、高校時代は矢本悠馬、現在は上地雄輔を配した点も、目立たないが機能している。
現在の恭子(北川景子)が桜良の手紙を読むシーンは、隣に座っていた女性がかなり大きくすすり泣いていた。

設定はラブストーリーであり、本来ならヒゲ面のオッサンが一人で観に行くのはちょっと恥ずかしい作品だ。
しかし、どこまでも透明でどこまでもピュアに突き抜けているので、ヒゲ面のオッサンが一人で観ても全然恥ずかしくなかった。
日本アカデミー賞は難しいかもしれないが、どこかの映画賞で浜辺美波が主演女優賞を取っても何の不思議もないほどの作品である。


88.君の膵臓をたべたい


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by ksato1 | 2017-08-02 05:30 | 映画 | Comments(0)