「チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~」

予告編を観たイメージでは、基本は「フラガール」で、スポ根要素の強いコメディ映画かと思っていた。
しかしストーリー展開など、私が想像していたよりもはるかに完成度の高い作品であった。

友永ひかり(広瀬すず)は福井中央高校に入学し、チアダンス部に入部した。
チアダンス部は元々バトン同好会で、どちらかと言えばちょっとワルい女子生徒の溜まり場となっていたが、顧問に就任した早乙女(天海祐希)が、生徒に高い目標を持ってもらいたいと考えチアダンス部に変更したのだ。
ひかりと同時に入部した玉置彩乃(中条あやみ)は、中学まで横浜で暮らしていて、中学時代にチアダンスの全国大会で上位入賞した経験があった。
さらに一人でヒップホップを練習していた紀藤唯(山崎紘菜)、クラシックバレエ出身の村上麗華(柳ゆり菜)がいた事もあり、早乙女は本気で全米大会優勝を目指すようになる。
しかし当然の事ながらそれまでの上級生はその場で退部、部員は1年生だけになってしまった。

早乙女にしごかれてなんとか全員で踊れるようになったチアダンス部だが、最初の大会で惨敗する。
あまりにも酷い出来だったためひかりたち自身がショックを受け、試合後にケンカとなり部員はバラバラになってしまった。
ひかりと彩乃はそこから一人ひとりの部員に声を掛け、再度チアダンス部をまとめようとする。

ここまでは、よくある「努力・友情・勝利」の「ジャンプ三原則青春映画」かと思った。
だがこの映画はここからが違う。
この一つ目の壁は「ジャンプ三原則」で乗り越えるのだが、二つ目以降の壁は「友情」を否定するのだ。
部長の彩乃は、勝つためにみんなの敵となる事を誓う。
その考え方に最後まで馴染めないのがひかりなのだが、彩乃に叱られた後輩を慰めようとするひかりを早乙女が、「あんたがそうやって優しくすると元の仲良しクラブに戻っちゃうのよ、邪魔だから出てって」と練習場から追い出してしまう。
観ている方としてはひかり目線になっていて、「いくらなんでもそこまで言う事はないんじゃないか」と思ってしまう。
しかし厳しい練習で部員の連帯感は非常に強くなっており、逆にお互いにぶつかりあうからこそ磨かれていくのだという事が、途中からわかってくる。
この映画は実話をもとに作られているが、リアルに世界一を目指すと言う事は「ジャンプ三原則」以上の世界なのだという事を、思い知らされた。

それでも、最後のカリフォルニアでの大会のシーンでは、いくらなんでもそれはないだろうと、また思ってしまう。
だがその後に、チアダンス部のこれまでの軌跡が早乙女目線で描かれる。
このシーンが非常に効いている。

脚本も饒舌ではなく、それでいて行間できちんと状況が説明されているためテンポがいい。
前半部は脚本で笑わせる部分が多いが、中盤以降は緊張感のあふれるセリフでまとめられており、このメリハリも巧い。
チアダンス部のダンスが披露されるのは最後の決勝シーンだけ、という引っ張り方も絶妙だ。
広瀬すず、天海祐希、中条あやみ、山崎紘菜の主要キャストに加え、富田望生、福原遥、柳ゆり菜あたりのキャスティングもピタリとハマっている。

監督の河合勇人はTV版、映画版両方の「鈴木先生」や、現在放送中のNHKドラマ「スリル!」も監督しているが、非常にセンスがある。
脚本の林民夫もヒット作が多い。

たしかTBSが制作委員会に名を連ねているので、キャストの変更は仕方ないにしても、この監督と脚本のコンビで連続ドラマを作っても面白いのではないかと思う。


32.チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~


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by ksato1 | 2017-03-16 23:42 | 映画 | Comments(0)