「愚行録」

原作は貫井徳郎で、直木賞候補になった作品だ。
すでに劇場公開されているが、私が観たのは試写会だった。

田中武志(妻夫木聡)は週刊誌の取材記者だ。
妹の光子(満島ひかり)は幼児虐待で収監されており、被害者となる姪は重体で入院中だった。
武志と光子は母に棄てられて父親に育てられたのだが、彼らも父親から虐待を受けていたのだ。
二人は一生懸命に生きようと努力したのだが、光子は精神的に耐えきる事ができず、収監後もカウンセラーによる診察を受けていた。

そんな状態の田中は、1年前に起きた一家3人惨殺事件を追っていた。
上司からは、あまり新鮮味がないからといい顔をされなかったが、田中はその事件を追い続けた。

まず田中がアプローチしたのは、被害者家族の夫であった。
被害者の夫は女性の気持ちを考えないタイプの人間であった。
さらに上昇志向が強く、学生時代に付き合ってきた彼女を踏み台にして就職活動をした過去も持っていた。
ハッキリ言って、女性から恨みを買っていても何の不思議もない人間である。

さらに田中は、妻の過去も探った。
妻は一見品行方正のよう見えるが、非常にプライドが高く周りの友人を自分より下に見る傾向があった。
友人の彼を奪うが、それも本当に彼が好きだったわけではなく、友人より自分の方が上だと言う事を証明するためだけに、彼を奪ったりしていた。

田中は少しずつ、被害者夫婦の真相に迫りつつあった。
しかしその時、光子の弁護士から光子が自殺した知らせを受ける。
カウンセリングの医師から、入院中の娘が死亡した事を知らされたためだった。

最初から最後まで、非常に重苦しいシーンの連続だ。
登場人物のほとんどが、人間の醜い部分をこれでもかと見せつけてくる。
それも過剰な部分はなく、すべて人間の本音をぶちまけるエピソードばかりなので、非常にリアリティがある。
そしてその醜い部分の表現の仕方も、また秀逸だ。
実力派の役者を揃え、かつその演技力を引き出す演出も巧いと思う。
ただ内容が内容だけに、観ていて本当に重い気持ちにさせられてしまった。

ラストはややご都合主義の強引感がなくもないのだが、田中が始めから犯人に気付いてこの事件にこだわりがあったと考えれば、その部分も解消する。

この映画を面白いと言っていいかどうかは微妙だが、完成度が高い作品である事は間違いないと思う。


27.愚行録


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by ksato1 | 2017-02-20 23:25 | Comments(0)