今年2回目のギンレイの2本

もう終了してしまったが、今年2回目のギンレイの2本。

まず「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」。

社会科と美術史の教師ゲゲンは、規則が厳格なフランスの高校で、上のクラスの試験に落ちた者のクラス、いわゆる落ちこぼれクラスを担当していた。
人種、宗教は様々、しかし生徒に共通していたのは、世の中を斜めに見てやる気を失っている事だった。
ゲゲンはそんな生徒たちに、クラスで歴史コンクールに参加しようと持ちかける。
テーマはホロコースト。
歴史コンクール自体に興味がなく、さらにホロコーストと言うテーマに生徒たちは最初及び腰だった。
しかしゲゲンは根気よく生徒たちにグループ学習をさせ、ミュージアムを見学させたり実際にホロコーストを体験した人を招いて質問をさせるなどして、次第にやる気を引き出していった。
そして見事彼らの発表は歴史コンクールで優勝し、その後生徒たちはみな自分たちの希望の道を歩む事になった。

学校に来る意味すら疑問に感じているような生徒たちを、見事に導いた女教師の、実話を元にした映画である。
見どころは生徒たちの成長なのだが、正直日本人にはわかりづらい。
フランス人の中でマジョリティと思われるキリスト教徒、そしてイスラム教徒とユダヤ人の距離感など、現在のフランスでの人種問題が映画の前提となっているのだが、セリフによる説明が皆無なので、登場人物の細かい感情の機微が伝わってこない。
生徒達が自暴自棄に近いような態度で学校に通っているのも、この社会問題が大きな要因になっていると思われるが、そのスタート部分がハッキリしないので、生徒たちの成長と言われてもピンとこない。
学習に興味のなかった生徒たちが少しずつやる気を出した、という上っ面の部分しか見えてこないのだ。

また日本では、こういう学校からはみ出した生徒の再生物語は、「金八先生」以降数多く題材にされてきた。
さらに戦争をテーマにして学習をさせると言う作品も、日本では非常に多い。
生徒たちがやる気を出すきっかけに関しても、作品中では特に教師が特別な何かをした訳ではなく、おそらく日本の教員免許を持っている教師だったら誰でもするだろうな、レベルである(映画ではなく実際の学校では特別な事をしていたのかもしれないが)。
生徒たちがお互いを「寛容」するようになったことで連帯を深めた、という部分はよく描けていると思うが、そのきっかけがいま一つわかりづらいので、映画を観て感動する、と言う事はなかった。

続いて「グッバイ、サマー」。

ダニエルはブロンドの長髪とかわいらしい顔立ち、華奢な体格のため、女の子と間違われる事が多かった。
男子生徒とつるむより、思いを寄せるローラたちとつるんでいる事が多かったのもその一因だった。
ダニエルは美術的な才能はあったが、パンクバンドを組んでいる兄とは異なり性格も内向的で、自分で描いた女体を見ながらマスターベーションする事もあった。

そんなある日、クラスに目立ちたがり屋のテオが転校してくる。
テオの親は骨董品店を営んでおり、子どもの頃からガラクタに触れていたテオは手先が器用で、いろいろな物を作り出す事ができた。
またテオは目立ちたがり屋で、転校初日も自ら改造した無駄に派手な自転車にで登校していた。
いきなり変な自転車に乗っているテオはクラスメートから疎んじられるが、元々クラス内で浮いていたダニエルとは馬が合った。
二人は放課後もつるんで遊ぶようになり、夏休みになるとテオが制作したエンジン付きの動くログハウスで旅に出るのだった。

カテゴリーで言えば、冒険心にあふれた少年たちのひと夏のロードムービーだ。
彼らの目的地は、風船並みの巨大なバストを持ったウエイトレスがいる、キャンプ場のレストランだ。
動くログハウスは最初は軽快に進むが、やがてさまざまなアクシデントが二人に起こる。
力を合わせたり喧嘩したり、背伸びした少年たちの奮闘ぶりが面白い。
ストーリー展開はだいたい想像の範囲内で、特筆すべき点はない。
だが、彼らが乗り込む動くログハウスと言う発想の段階で、もう勝利していると言っていいだろう。
まったくスピードの出ないこの乗り物が、二人の珍道中を巧く演出している。

男性だったら自分の少年時代を思い出して、楽しめるのではないかと思う。


19.奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ
20.グッバイ、サマー


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by ksato1 | 2017-02-06 23:24 | 映画 | Comments(0)