「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」

私は全く知らなかったが、実在したフローレンス・フォスター・ジェンキンスを題材にした作品である。
予告編を観た段階では、音痴の妻が最期にカーネギー・ホールでリサイタルを開きたいと言う夢を持ち、献身的な夫がそれを実現させるという感動ストーリーかと思った。
しかし内容は大きく違っていた。

フローレンス・フォスター・ジェンキンス(メリル・ストリープ)は、資産家の娘で音楽家を目指していた。
親に反対されたため一度は家を飛び出したが、医師と結婚して音楽家の夢は諦めた。
しかしその後医師とは離婚、両親の死後莫大な遺産を受け継いだため、「ヴェルディ・クラブ」と言うサロン的な交流会を主宰し、そこでリサイタルを開いていた。
しかしフローレンスは致命的な音痴だった。
「ヴェルディ・クラブ」のメンバーは温厚な人たちばかりで、かつフローレンスがいろいろな音楽活動にパトロンとして出資していた事もあり、誰もフローレンスが音痴である事を指摘しなかった。

そしてフローレンスには内縁の夫がいた。
名前はシンクレア(ヒュー・グラント)と言い、元々はイギリスの伯爵家の末裔だったが、庶子であったためアメリカに渡り俳優をしていた。
シンクレアはもう25年もフローレンスの身の回りの世話とマネージャー的な仕事をしていたが、彼には別に愛人のキャサリン(レベッカ・ファーガソン)がいて彼女と暮らしていた。
フローレンスは元夫から梅毒をうつされ長年病気に苦しんでおりホテル暮らし、シンクレアは彼女をベッドに送り届けてから愛人の待つアパートに帰ると言う生活だった。

ある日フローレンスは、新しいピアニストを雇いたいと言い出した。
シンクレアが募集を掛け、温厚そうなマクムーン(サイモン・ヘルバーグ)が採用された。
最初は何も知らなかったマクムーンだが、当然すぐにフローレンスの音痴に気付く。
そしてシンクレアから、リサイタルは既知の「ヴェルディ・クラブ」のメンバーしか参加しないし、レビューを書く専門誌の記者は全員買収しているから彼女が気付く事はないと聞かされた。
時折新しいメンバーが加わると、リサイタル中にフローレンスの音痴を爆笑したりもするのだが、そのたびにシンクレアが機転を利かせてフローレンスに気付かれないようにしていた。

そんな折、愛人キャサリンのご機嫌取りのため、シンクレアは休暇を取ってゴルフ旅行に出かける。
しかしそのタイミングで突然、フローレンスは「ヴェルディ・クラブ」の会員にクリスマスプレゼントとして自分の歌のレコードを送る事を思いつく。
シンクレアはいなかったが、自分でスタジオを借りてレコーディングをしてしまうフローレンス。
そしてそのレコードが、なぜかラジオ局にも渡ってしまい流されてしまった。
ところが、その曲が軍の病院でかなりの評判となった。
その事に気を良くしたフローレンスは、カーネギー・ホールに退役軍人を呼んでリサイタルを開く事を思いつく。

ほぼ事実に近い物語らしいが、よくわからない部分が多い映画だ。
一番わからなかったのは、なぜラジオから流れたフローレンスの歌声が軍の病院で好評だったのか、という事だ。
戦争で心を病んだ軍人たちにとって、音痴でも臆することなく歌うフローレンスに勇気づけられたのだろうか。
私の理解力不足かもしれないが、そのあたりがよくわからなかった。
だからカーネギー・ホールに軍人たちが殺到したのも、何が目的なのかがわからなかった。

ややネタバレになるが、予告編で流されていた通り、フローレンスの歌は新聞で酷評される。
しかし劇場であれだけ喝采を受けていたのだから、1回の新聞の酷評にあれだけショックを受けなくてもいいような気がする。

いずれにしろ、シンクレアが献身的な夫ではないという事がわかった時点で、個人的にはやや興醒めしてしまった。
この映画をそういう見方をする人間は少ないかもしれないが、シンクレアの行動を見ているとフローレンスが気の毒でならず、笑いの場面でもあまりおかしいと思わなかった。

事実を元にしているとは言うものの、場合によっては気分を害する人もいるんじゃないかと思った。



107.マダム・フローレンス! 夢見るふたり


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by ksato1 | 2016-12-05 06:43 | 映画 | Comments(0)