「シークレット・オブ・モンスター」

久しぶりに観た、まったく意味のわからない、頭がおかしくなりそうな映画だ。
「戦慄の謎に迫る心理パズルミステリー」と謳われているが、もうこの言葉自体が日本語ではない。
監督が使った「パズルのように観客自身が自然と関連付けをしてしまうような緻密な構成作りであり」というフレーズから、無理矢理キャッチコピーをひねり出しているだけである。

しかも、公式サイトに書かれている監督の言葉を読んでいるだけでも頭がおかしくなりそうだ。
監督のブラディ・コーベットと言う人が、サルトルの著者やムッソリーニの自伝を読んで浮かんだインスピレーションをそのまま映像にしただけで、全体を通した軸がないため強引に「パズルのようだ」と評しているだけである。

中味がないので、ストーリーを書くとすべてネタバレになってしまうためほとんど書けない。
書けるのは状況設定だけだ。
第一次世界大戦終了間近、ヴェルサイユ協定締結のためアメリカからフランスに派遣された政府の高官は、フランス出身の妻と息子を連れてきていた。
滞在するのはかつて叔母が暮らしていた屋敷で、戦争を逃れるために叔母はすでに退去していた。
家族は残された使用人たちと生活を始める。

だが、息子は何が不満なのか、親に反抗を始める。
まず、通っていた教会の演劇の練習後、神父たちに石を投げたり、部屋に籠城したりする。
父親が忙しく、息子が言う事を聞かないため母親はやや情緒不安定に陥り、その事がさらに息子の反抗を強めてしまう。

書けるのはここまでである。

最初は、ヨーロッパ映画によくあるように、環境に慣れる事ができない子どもの内面を鋭く描く映画なのかと思った。
だが、子どもはキーキー叫んで目に余る行動を繰り返すだけで、彼の本当の内面が表現されるシーンはほとんどない。
あるとすれば、年上の家庭教師にちょっかい出して怒られるシーンだけだ。
しかし女性に強い興味を持っている、という訳でもない。

両親の諍いが影響を与えるのかと思いきや、そういう訳でもない。
優しい料理人の老婆には心を開いているようだが、自分のせいで彼女が辞めさせられる時も特に行動を起こしたりはしない。
部屋に引きこもったままだ。
とにかく、息子が何に不満を持っているのか、あるいは本人も何に不満なのかわからずに苦しんでいるのか、そういう表現が一切ない。
極度な反抗期を迎えている少年のドキュメンタリーのようで、ドン引きしてしまう。

監督は何かを描きたかったのだろうが、まったくの力量不足で映画として成り立たなかった、実際のところはそんな感じではないだろうか。
監督自身、結果的によくわからない作品しか作り上げる事ができなかったので、仕方なく後付けでいろいろな言い訳をしているとしか思えない。

この映画を評価する人間は、人と逆の事を言うのが大好きな、よっぽどのひねくれ者しかあり得ないだろう。


106.シークレット・オブ・モンスター



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by ksato1 | 2016-12-02 06:16 | 映画 | Comments(0)