「疾風ロンド」

東野圭吾原作で、そもそも原作がバリバリのシリアス作品なのか、あるいは笑いの要素含んだのかわからないが、映画はちょっと中途半端な立ち位置になってしまった。

医科学研究所の研究員だった葛原(戸次重幸)は、炭素菌のワクチン研究をしている時に、偶然どんなワクチンも効かない新型炭素菌「K-55」を発見する。
葛原はその事を上司の栗林(阿部寛)に自慢するアブないヤツだったため、栗林は所長の東郷(柄本明)に報告し、葛原は研究所をクビとなってしまった。
逆恨みした葛原は、同じ研究員の折口(堀内敬子)を騙して研究所から「K-55」を盗み出し、雪山のどこかの木の根元に埋めた。
容器の蓋はカーボナイト製で、10度を超えると壊れると言う。
木には目印のテディベアが飾られていて、葛原はテディベアの場所が知りたければ3億円を寄こせと東郷に要求してきた。
だがその直後、雪山から戻る高速道路で葛原は事故死してしまう。
しかも、テディベア内に仕込まれた発信機のバッテリーが後4日しか持たない。
東郷は栗林に、4日以内に「K-55」を回収するように命令する。

栗林は息子の秀人(濱田龍臣)と二人暮らしで、秀人はスノーボードに夢中だった。
秀人の伝手でスノボショップの店主に写真を見てもらい、なんとかスキー場が野沢温泉であることを突き止める。
栗林は息子に中学を休ませて、二人で野沢温泉に向かった。

根津(大倉忠義)は野沢温泉でスキーパトロールをしていた。
かつて根津はオリンピックを目指していたが挫折、後輩の千晶(大島優子)もオリンピックを目指すスノーボーダーだが、ここのところ成績がふるっていなかった。
スキー場でウロウロしながらケガをしてしまう栗林は、この二人の助けを借りてテディベア探しを始める。
しかし受信機が時折反応をするものの、なかなかテディベアは見つからない。

一方秀人は、地元の中学生の育美(久保田紗友)と仲良くなっていた。
やがて栗林たちは、育美の同級生たちがテディベアに関与している事を知り、事件は一気に動き出す。

主演の阿部寛が、相変わらずいい味を出している。
最近はシリアスな役よりも、コメディ役者としての仕事の方が多い印象でもある。
ただ、やはり面白い。
その他にも、ホテル支配人の野間口徹もなかなかコミカルな演技をしている。
一方で根津の大倉と中学生たちは、常にシリアスな演技である。
このメリハリが巧い。

ただ、全体の構成はややバランスが悪い感じもする。
テディベアの行方が分かった後で、いろいろな人間がいろいろな思いを持って行動するため、「K-55」の行方は二転三転する。
どちらかと言えば、テディベアの行方が分かった後の方がこの映画の主題であると思うのだが、時間配分が悪く、前半はややダレた展開で、逆に後半はちょっと駆け足な感じがする。
また、「K-55」が二転三転するための伏線がとても弱いため、後半部の展開が余計に急に感じる。
根底として栗林親子の関係があまりしっくり行っていない、という設定があるのだが、父と息子二人暮らしなら、普通こんな感じ、と言うか、結構うまくやっているんじゃないかな、という雰囲気になってしまっている。
だから中盤で秀人が喫茶店「カッコウ」で、「オヤジはいつだって隠し事ばかりじゃないか」的に怒りだすのだが、それも「この子なんでこの場で突然キレるんだろう?」と違和感を感じた。

もっと前半部はポンポンと複線だけでストーリーを消化し、後半部をじっくり描いた方がよかったんじゃないかと思う。
スキー場の滑走シーンはなかなか迫力があっただけに、やや残念な作品になってしまった。


105.疾風ロンド



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by ksato1 | 2016-12-01 06:33 | 映画 | Comments(0)