「CYBORG 009 CALL OF JUSTICE 第1章」

2012年に「009 RE:CYBORG」というサイボーグ009を冒涜する映画が公開された。
それほど大きくないスクリーンであったが客席は期待するファンでほぼ満席、しかし観終わった後の観客はみな呆然として何も言葉を発しなかった。
それくらい、意味がまったくわからない映画だったのだ。

そして今年、同じ監督による新たな3部作が作られた。
面白くない事は200%わかっていたが、サイボーグ009作品ということであれば、観に行かない訳にはいかない。
(昨年の「サイボーグ009 VS デビルマン」は知らない間に公開されていたので観てないのだが)

で、まずは第1章だが、想像通りのつまらない作品だった。
だが、想像を遥に超えたつまらない作品でなかった分だけ「良し」としなければならないのかもしれない。

テキサスの田舎で世間から隠れるように暮らしていたギルモア博士と00ナンバーサイボーグたちの元に、ルーシー・ダベンポートという名のジャーナリストが訪れる。
彼女は00ナンバーサイボーグが誕生した50年前から現在まで、すべての事件と活躍の写真を持っていた。
そこに映っているのはあなたたちなのかと、問い詰めるダベンポート。
ジョーやフランソワーズは否定せず、世間に公表したければすればいい、とダベンポートに言う。
しかしダベンポートの目的は、00ナンバーサイボーグの存在を世間に公表する事ではなかった。

彼女の父ダベンポート博士は、娘にキューブ形の物体を残し、死ぬ間際に「このキューブを解析できるのはギルモア博士とイワン・ウィスキーだけだ」と告げて死んでいた。
ダベンポートは、父の言葉を信じてギルモア博士に会いに来たのだった。
さらにダベンポートは、父親は太古から人類を支配する異能種「ブレスド」によって殺されたのだと言う。
取りあえずギルモア博士は、国連軍のガーディアンズにダベンポートの警護を依頼した。

しかしガーディアンズの到着を待たず、すぐに異常な能力を持った男たちの襲撃を受けてしまう。

まず、そもそもこの作品はどんな層をターゲットに作られたのかがわからない。
新旧合わせた大人向けのファンなのか、あるいはグッズを売るために子ども向けに作られたのか。
期間限定公開という事なので、おそらくは前者なのだろう。
しかしそれにしては、設定およびストーリー展開があまりにも稚拙だ。
21世紀になって15年、平成に至っては28年も経つのに、アニメ全盛期の昭和時代、それもガンダム以前の宇宙戦艦ヤマト時代を彷彿させる脚本である。

90分の作品のうち、現在の状況説明、一人の目ブレスドとの戦い、二人目のブレスドとの戦い、ガーディアンズの到着が、ほぼ均等に割り振られている。
しかも、場面は全部同じテキサス。
高校生が学園祭で作った映画かと思うほど、幼稚なストーリー展開である。
製作者は、この脚本で大人が満足すると本気で思ったのだろうか?

ブレスドの能力も、戦闘時には効力を発揮するかもしれないが、人類を支配するために役立つ能力とは到底思えない。
まったく深みがなく、単純に00ナンバーサイボーグたちと戦うためだけに登場したとしか思えないキャラクターだ。
まあこの部分はこの後の第2章と第3章で、「あの二人は戦闘用の下っ端のブレスドだ」という展開になるのかもしれないけど。

それ以外にも、中途半端に「エントロピー」などと言う科学用語を使っている点もチャンチャラおかしい。
00ナンバーサイボーグはあくまでもサイボーグであって、アンドロイド、いわゆるロボットではない。
なので誕生から50年経過していれば、それだけ老化しているはずなのだ。
たしか原作の「ベトコン編」でジェットが片足を失った時も、ジョーが無理矢理縛って応急処置をしていたら、後からギルモア博士に「君たちはロボットじゃないんだ、だから循環器系はきちんと循環させないと腐ってしまうんだ」と言われていたはずだ。
皮膚やその他の臓器などもすべて強化している、と言う設定にもできるが、少なくとも脳は強化できないだろう。
脳を新しくしてしまったら、それはもうサイボーグではなくアンドロイドになってしまうのだ。
百歩譲って00ナンバーサイボーグたちはそれでいいかもしれないが、ギルモア博士はいったいいくつだよ、と言う話になってしまう。
そのあたりの大前提にまったく触れずに「エントロピー」などと言う科学用語を使っている所に、この映画の監督の薄っぺらさがにじみ出ている。

今回はオールドファン向けに、原作スタート当初のエピソードを無理矢理盛り込んだのかもしれない。
しかし重要な事はそこではないのだ。
原作スタートのエピソードを盛り込めば話に大きく矛盾が出る事は、ちょっと考えれば高校生でもわかる事だ。
そうではなくて、原作の設定を活かしながら、現在の状況に落としこむ事が作品を作ると言う事なのだ。

とは言うものの、まだ後2作品残っているので、本当のダメ出しはその2作品を観終わってからにしようと思う。


104.CYBORG 009 CALL OF JUSTICE 第1章



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by ksato1 | 2016-11-30 07:00 | 映画 | Comments(0)