「ミュージアム」

原作は「ヤングマガジン」で連載されたそうだが、いかにも「ヤンマガ」テイストな作品だ。
同じ「ヤンマガ」原作で似たようなテイストの「ヒメアノ~ル」も今年実写映画化されたが、あちらよりはだいぶマイルドな感じでストーリーにも無理がなかった。

ある雨の日、下水溝のようなトンネルで惨殺死体が発見された。
天井から鎖で繋がれて身動きが取れないようにされたうえで、空腹の大型犬に食い散らかされていたのだ。
担当刑事の沢村(小栗旬)と西野(野村周平)は、発見された大型犬が紙を吐いたと連絡を受ける。
そこには「ドッグフードの刑」と書かれていた。
さらに数日後、今度は母親と二人暮らしの引きこもりの男が殺された。
男はイスに縛り付けられ、彼の出生時の体重分の肉を切り取られており、かたわらには「母の痛みを知りましょうの刑」という紙が落ちていた。

二つの事件の被害者を調べると、どちらも3年前の猟奇殺人事件の裁判員であった事がわかった。
当時4歳の少女が誘拐され、透明の樹脂で固められ玄関前に置き去りにされたのだ。
その犯人とされた大橋茂は、裁判員裁判の一審で死刑判決が出たが、精神に異常を来たし拘留中に自殺していた。

捜査班は、すぐにこの裁判の関係者を保護しようとする。
そしてその中には沢村の妻の遥(尾野真千子)も含まれていた。
遥は仕事ばかりで家庭を顧みない沢村に愛想を尽かし、一人息子の将太を連れて家を飛び出していた。
携帯もつながらず、焦る沢村。
その間にも第3、第4、第5の殺人が起こっていた。

第3の殺人は「均等の愛の刑」。
裁判官が縦に真っ二つに切断され、片方が正妻、片方が愛人に宅急便で届けられた。
第4の殺人は「ずっと美しくの刑」。
同じく裁判官だった50代の女性は、美容に異常に気を使って惜しまずカネを注ぎ込み、若い男にも入れ上げていた。
その結果ヒアルロン酸などの美容品と一緒に、丸裸で冷凍保存された。
第5の殺人は「針千本の刑」。
占い師が仕事場で、口に大量の針を押しこまれて殺されていた。

沢村は遥の行方を追うために、遥の親友であった佳代(田畑智子)を訪ねる。
最初は何も教えてくれなかった佳代だが、沢村の後に別の刑事が駆け付けた事で、事態の重大さを理解する。
しかし佳代が自分の部屋にいると告げた時には、すでに遥と将太は犯人に連れ去られた後だった。

犯人は目撃情報で、雨合羽を着ていた。
沢村たちが佳代の部屋に急行した際に、沢村は雨合羽の男が車で走り去るのを目撃する。
一人で雨合羽男の車を追走する沢村。
しかし壮絶なカーチェイスの末、沢村の車は激しく横転、さらに雨合羽男がトラックで押し潰そうとしてくるが、なんとか難を逃れる。
だが雨合羽男は取り逃がしてしまった。

その後、沢村は事件の関係者と言う事で担当を外されてしまった。
しかし妻と息子の事が気になる沢村は、西野から情報を聞き出すために彼を呼び出した。
二人が合っているまさにその時、窓の外に雨合羽の男がカエルのマスクを被って立っていた。
沢村と西野はカエル男を追うが、沢村は車に衝突してしまう。
引き続き西野はカエル男の後を追うのだが、沢村が追いついた時、西野はカエル男に捕まりデパートの屋上から落とされそうになっていた。
カエル男は自分こそが3年前の猟奇殺人事件の犯人であり、樹脂で固められた幼女の遺体は自分の作品だと言う。
それなのに、大橋という男を犯人にした愚かな裁判員に制裁を加えていると言うのだ。
完全に常軌を逸脱したカエル男を沢村は懸命に説得しようとするが、カエル男はいきなり「時間だ」と告げ、西野を捕まえていた手を離して立ち去ってしまった。

まず、沢村役の小栗旬の演技が非常にいい。
妻子を捕らわれた沢村の焦燥感が、最初から最後までスクリーンを通してひしひしと伝わってくる。
そして、犯人役の妻夫木聡のイカレ具合もさすがだ。
単純なグロいミステリー作品となってしまってもおかしくないところを、この実力派二人によって作品に一本筋が通った形になっている。

唯一の欠点は、捜査から外された沢村が勝手に行動を起こし、本庁に連行されるシーン。
沢村は、本庁の刑事が両側からしっかり押さえて後部座席の中央に座らされているのに、あっという間に両脇の刑事をぶちのめして逃走してしまう。
沢村が格闘技の達人、という設定でもないので、あの逃走シーンだけは「本庁の刑事、どんだけ弱いんだ」と突っ込みたくなった。
また、カエル男がなぜカエル男になってしまったのか、と言う部分にも興味はあったが、そこまで描くとやや饒舌になってしまったか。

とは言え、途中から少しずつバッドエンディングを想像させる演出も良く、最後まで緊迫感あふれる作品になっていた。
個人的にはかなり好きな作品である。



101.ミュージアム


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by ksato1 | 2016-11-26 01:01 | 映画 | Comments(0)