「ぼくのおじさん」

原作は今から50年以上前に「中二時代」で連載が始まった、北杜夫作品だ。
なんで21世紀の現代で映画化するのかよくわからないのだが、Wikiによると『探偵はBARにいる』シリーズのプロデューサーが、松田龍平で映画化したかったようだ。
たしかに松田龍平のキャラは「おじさん」には合っていると思うが、いかんせん内容にはかなり無理があった。

ぼく、春山雪男は、両親、妹と暮らす小学生だが、家には父の弟であるおじさん(松田龍平)が居候していた。
おじさんは一応哲学の研究社で、週に一度大学で教鞭を取っているが、それ以外は何もせずはっきり言ってグータラな男である。
そんなおじさんに、ある日お見合い話が舞い込んできた。
相手はハワイ出身の日系4世で、カメラマンをしている稲葉エリー(真木よう子)だった。
最初は渋っていたおじさんだが、個展でエリーを見ると一目ぼれしてしまった。
しかしエリーは亡くなった祖母の後を継ぎ、コーヒー農園を営むためにハワイに帰ると言う。

おじさんはなんとかハワイに行くべく、さまざまな懸賞に応募する。
しかし当然、すべて外れてしまう。
そんな時、おじさんを題材にしたぼくの作文が懸賞で当選し、ハワイ行きのチケットを手にする事になる。
おじさんは強引に引率をして、首尾よくぼくと一緒にハワイへと向かうのであった。

冒頭にも書いたが50年前、しかもジュブナイル作品が原作の映画化と言う事で、ズバリ言ってツッコミどころ満載の作品である。

まず、ハワイ行きのチケットだ。
今なら格安航空券があるし、今どきハワイ旅行を賞品にする懸賞なんて聞いた事がない。
その時点で、かなりの違和感を感じる。
さらにおじさんは一応大学の講師のはずなのに、英語のレベルが中学生以下だ。
昭和30年代、まだ1ドルが360円で、日本人のハワイに対する憧れが今の何倍もあった時代である。
日本人の平均的な英語レベルも、今よりもだいぶ低かったのかもしれない。

また、おじさんの恋のライバルとなるのが、老舗和菓子店の若旦那青木(戸次重幸)である。
彼は元々エリーと付き合っていたのだが、お互い稼業を継がなければならないと言う理由で別れている。
これもなんだか、ベタベタな昭和の設定である。
さらにラストのオチも、今どきこれでいいのかと言うレベルのストレートなオチだ。
正直、観ている方が恥ずかしくなってしまった。

たしかに、松田龍平のおじさんは味があっていい。
また監督の山下敦弘は「天然コケッコー」を撮っており、こういうゆったりした映画はあっているのかもしれない。
狙いはわからなくもないが、ハッキリ言って映画館で観て面白かったかと問われれば、面白くなかったと言わざるを得ず、他の人に薦める事もまずできない作品だった。


89.ぼくのおじさん


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by ksato1 | 2016-11-14 21:59 | 映画 | Comments(0)