「ディアスポリス 異邦警察」

「モーニング」連載時は非常に好きな作品で、毎週楽しみにしていた。
作画はすぎむらしんいち、原作はリチャード・ウーだが、このリチャード・ウーは浦沢直樹と組んで数々のヒット作品を生み出した長崎尚志の別名である。

映画化の前に、2016年4~7月期に深夜でTVドラマも放送されたが、それもすべて見た。
ただ、原作の持つ独特の世界観を前面に押し出し過ぎて、登場人物の相関関係もストーリーもよくわからない作品になっていた。
映画もやや不安を感じながら観に行ったが、やはり思っていた通りよくわからない作品になってしまっていた。

新宿歌舞伎町界隈には、密入国の異邦人ための裏都庁が存在していた。
日常社会を成立させるため、その他にも裏病院、裏銀行、そして裏警察として異邦警察も作られていた。

異邦警察の署長は久保塚早紀(松田翔太)は、見た目は日本人で日本語も堪能だ。
しかし実際の出生地は不明、ほとんどのアジアの言葉とヨーロッパの言語を操る謎の人物である。
かつてエリート銀行員だった鈴木(浜野謙太)を相棒に異邦人を護り、TVドラマ版のラストでも外国人排斥集団SOPから異邦人を護った。
映画版はそこからスタートする。

パーティー中の久保塚たちのところに、風俗嬢が誘拐されたと連絡が入る。
犯人は中国出身の周と林だ。
久保塚は、いったん犯人の要求通りに身代金を払うように言うが、風俗嬢は殺されてしまう。
久保塚は二人を追うが教会の前で見失ってしまった。

周と林は、暴力団の横島の口座を借りて身代金を振り込まさせたが、横島がピンハネしようとしたため殺してしまう。
二人は稼いだカネで異邦人の犯罪組織「ダーティー・イエロー・ボーイズ」に加入しようとするが、エリアのリーダーがあまりにもレベルが低いため殺害、周がそのままエリアのボスの座に就いた。

一方、久保塚は周と林を追っていたが、その流れで横島が所属していた暴力団の組長伊佐久(眞木蔵人)と知り合う。
伊佐久は久保塚に横島探しを依頼するが久保塚はこれを拒否、別々に探す事になった。

周と林は新たに加わったホセ、朴とともに、関西の暴力団が隠す10億円を狙っていた。
西下しながら殺人を重ねる4人。
久保塚は東京の周と林の知人から、彼らが中国で地下教会の牧師の息子だった事を知る。
そのため必ず地下教会に立ち寄ると踏んで、周と林の足取りを追うのだった。

原作の「ダーティー・イエロー・ボーイズ」編を、ほぼそのまま忠実に実写化している。
ただTVドラマ版同様、独特の世界観を強調し過ぎたため、映画としてはよくわからない作品になっていた。
何かに頼ろうとする周と林が、自分たちの希望にたどり着けずに少しずつ狂気を増長させて行くのだが、そのあたりが描き切れていない。

監督の熊切和嘉は、「私の男」でも世界観を押しだし過ぎてよくわからない作品にしてしまっていた。
ハッキリ言って今回も、監督の力量不足に寄ると言わざるを得ない。

人気作品だっただけに、個人的にはもっと頑張って面白い作品にして欲しかった。


69.ディアスポリス 異邦警察


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by ksato1 | 2016-09-19 08:39 | 映画 | Comments(0)