「シン・ゴジラ」

2014年公開の「GODZILLA ゴジラ」はグズグズだったし、本作も予告編を観た段階ではイマイチな感じがしていたので「もう『ゴジラ』の栄光は終わった」と思って期待していなかった。
しかしここに『ゴジラ』は見事に復活した。
世界よ、これこそが『GODZILLA』だ!

東京湾アクアラインの海底トンネル付近で大量の水蒸気が発生、同時に崩落事故も起きていた。
内閣はすぐに東京湾を封鎖、危機回避のための会議を開いていた。
現場からの第一報を受けた内閣官房副長官の矢口蘭堂(長谷川博己)は、状況から単純な事故ではないのではないかと推理。
各省庁の代表者が海底火山の活動による水蒸気噴出と結論付けようとする中、一人、謎の生物が原因の可能性があると主張する。
公式な会議の場でバカな発言をするなと矢口を嘲笑する声が上がったその時、TVモニタに会場から現れた尻尾のような物体が映し出される。

謎の生物は羽田沖から呑川を遡上、蒲田付近で上陸してそのまま第一京浜を北上し始めた。
内閣総理大臣の大河内(大杉漣)は自衛隊の出動を命じるものの、住民の避難がまったく進んでいないため、謎の生物に対しての攻撃が出来ない状態にあった。
謎の生物は北品川付近に達したあたりで腹ばい状態から2足直立を始め、そこでいったん活動を停止。
ちょうど上空に到着していた自衛隊の対潜ヘリは住民の避難完了を確認して攻撃状態に入ったのだが、発射の直前に避難途中の住人を発見して砲撃を中止した。
謎の生物はその後、天王洲アイランド付近から再び東京湾へと去って行った。
政府は謎の生物対策として巨大不明生物特設災害対策本部を設置、事務局長に矢口を任命した。
矢口は各省庁からその道のプロを招集して謎の生物の分析を開始するのだが、その段階で謎の生物の移動経路沿いの放射線量が高くなっている事を発見する。
そして謎の生物自体が、体内で核分裂を行っている可能性について検討を始めた。

それとは別に、矢口の先輩にあたる内閣総理大臣補佐官の赤坂(竹野内豊)は、アメリカからの特使カヨコ・アン・パタースン(石原さとみ)と接触していた。
カヨコは、アメリカは独自に謎の生物の研究を進めていて、アメリカで研究活動をしていた科学者牧悟郎がこの生物の正体を知っていると告げ、牧の研究データを提供した。
赤坂は公安を使って牧の行方を探るが、牧は謎の生物が現れた当日、羽田沖からボートに乗り行方がわからくなっていた。

人類が奏功している間に、謎の生物が相模湾沖から鎌倉に上陸した。
しかも変態を行ったらしく、前回の上陸時よりも数倍の大きさになっていた。
矢口は牧の研究データから謎の生物を「ゴジラ」と命名、ゴジラは神奈川から東京に向かって進撃を開始した。

まず一言、やはり庵野秀明は天才である。
ゴジラにしろウルトラマンにしろ、怪獣特撮モノと言えばどうしても、メチャメチャ強烈な兵器や人間に都合のいい自然現象など、現実ではあり得ないいろいろなご都合主義が起きて当たり前だった。
だが、この庵野版「ゴジラ」は、とにかくリアリティを追及している。
未知の危機が迫った時の逃げ惑う人々、総理大臣が攻撃を判断するまでの逡巡、実際に巨大生物が現れた際に現在の兵器の火力、日本以外の各国の対応、反応など、本当にゴジラが現れた実際に怒るのではないかと思われるストーリーになっている。

さらに、放射能の捕らえ方も絶妙だ。
東日本大震災以降、日本人の放射線量に対する日常の感度は上がっている。
そして当然、唯一核攻撃を受けた日本ならではこその、核兵器に対する深い思いもある。
それらの表現の仕方が素晴らしい。
世界に出しても恥ずかしくない、いや、世界中の人に観てもらいたい作品である。
ゴジラに対する最終作戦決行直前の矢口の演説は、怪獣映画でありながら心にアツい物を感じた。

ズバリ言って、非常に高度な政治判断なども入るため、ストーリー的には子どもにはわかりづらい部分もあるだろう。
その一方で、自衛隊の協力を得て実際の兵器を忠実に表現して迫力を演出したり、あるいはゴジラ攻撃に関しても子どもが喜びそうな演出を入れるなど、映画館に来た人がみな満足できる作りになっている。
BGMの使い方も心憎いばかりだ。
庵野秀明は、この映画を観に来た人が何を期待しているかをきちんと理解している。

大森一樹版ゴジラは観ていないのだが、私的にはゴジラシリーズ史上最高傑作、少なくともハリウッド版「GODZILLA ゴジラ」や北村龍平の「ゴジラ FINAL WARS」などとは比較してはいけない作品だ。


58.シン・ゴジラ


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