「帰ってきたヒトラー」

イギリスのEU離脱のニュースが流れる中、非常に強烈な映画が公開されていた。

連合軍の侵攻により敗北を認めたヒトラーは、愛人エヴァとともに総統地下壕で自殺を図った。
しかしなぜか、彼は2015年のドイツにいた。
当初はヒトラーも、何が起こっているのかわからなかった。
しかしふらふらと立ち寄ったスタンド売店の新聞で、今自分が2015年にいることを知る。
理由はわからないものの、自分が置かれている現状を理解したヒトラーは、数々の知識を仕入れて対応しようとしていた。

一方、フリーのTVディレクターのザヴァツキーは、ベリーニとの権力争いに敗れたゼンゼンブリンクにより、経費削減で突然契約を解除されていた。
なんとか自分の取材ネタで復活をはかろうとしていたところ、VTRの中にヒトラーに似た人物が映っていた事に気付く。
早速ヒトラーにコンタクトを取ると、ヒトラーのように人から注目される見事な弁舌の持ち主だった。
ヒトラーのモノマネ芸人としてはかなり面白い。
ザヴァツキーは早速ヒトラーと一緒にドイツを回り、さまざまな人たちと会話をさせ、その模様をYouTubeにアップした。
たちまち話題となるヒトラー。
ザヴァツキーはTV局に掛け合い、ヒトラーをトーク番組に採用された。
番組中でも過激な発言をやめないヒトラーは、たちまち話題となる。
局長のベリーニは、ヒトラーを番組にどんどん出し続ける事にした。
しかしベリーニ追い落としを企むゼンゼンブリンクは、ヒトラーが旅の途中で犬を射撃した映像を流した。
犬殺しとしてヒトラーはTVから去り、ベリーニもTV局を追われた。

だがザヴァツキーはヒトラーに「帰ってきたヒトラー」という本を執筆させ、それが大ヒットとなり、ヒトラーは再び脚光を浴びるようになる。
ザヴァツキーはベリーニに「帰ってきたヒトラー」の映画化を持ちかけ、ベリーニもこの話に乗る。
とんとん拍子で再ブレイクし始めたヒトラーだが、ザヴァツキーは自分の撮影した映像を見返し、ヒトラーが本物である事に気付いた。

とにかく風刺の効いた作品だ。
現代によみがえったヒトラーはさすがに賢く、ユダヤ人の話はしない事と言われると、その部分については触れずに話をする。
ヒトラーが現代の常識を踏まえたうえで自分の持論を展開するため、称賛する者と否定する者が真っ二つに分かれる。
だがこれは、メディアに取っては一番ありがたいことである。
さらに、ヒトラーが細かい現代の常識を知らない部分も、天然ボケとなって人々にウケたりする。

しかし冷静に考えると、これは非常に危険状態とも言える。
ラストシーンも含めてこの映画の風刺はかなりキツく、面白いのにあまり話題になっていないのも、劇場が及び腰であまり上映館が増えないのが原因かもしれない。
ただ、単純に風刺をしているだけではなく、ドキュメンタリー風の構図やカメラワークとドラマ部分を巧みに織り交ぜるなど、制作者のセンスの良さも強く感じた。

きちんと常識のわかる大人におススメの映画である。


52.帰ってきたヒトラー



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