「スキャナー 記憶のカケラをよむ男」

脚本が古沢良太と言う事でそこそこ期待して観に行ったのだが、ところどころ粗っぽい部分がありかなり残念な作品になってしまっていた。

秋山亜美(杉咲花)のピアノを教えている音大生の沢村雪絵(木村文乃)が行方不明となった。
亜美はかつて雪絵が大ファンだと言っていた、お笑いコンビ「マイティーズ」に雪絵の捜索を依頼する。

「マイティーズ」はかつて物から残留思念を感じ取ると言う芸で人気を博したが、実際に思念を感じる仙石和彦(野村萬斎)が仕事に嫌気をさして失踪、その後相方の丸山竜司(宮迫博之)はピンの漫談芸人となっていたが、パッとせず日々借金取りに追われる生活だった。
亜美が友達からのカンパで集めた30万円を支払うと言うと、丸山は報酬目当てに仙石を引きずり出す。
当初はまったく乗り気がしなかった仙石だが、雪絵が残した爪やすりから雪絵の残留思念を感じ取り、捜査の依頼を引き受けることにした。

仙石と丸山が雪絵の残した思念から感じ取った情報を警視庁捜査一課に送ると、すぐに刑事の佐々部(安田章大)から連絡が来た。
なんと送った情報は、ここ半年で起きた連続殺人事件の重要情報と合致、しかもその情報は一般に公開されていないものだった。
仙石と丸山は警察から疑われながら、さらに捜索を進める。
すると、殺人事件の被害者の遺留品から、レインボーブリッジ周辺の公園に何かがある事を掴んだ。
二人はすぐに公園に直行、怪しい小屋を調べていると、仙石は犯人に関する重要な情報を感じ取った。
だがその直後、二人の乗った軽自動車が襲われて海に墜落、小屋も爆破され全焼してしまった。

丸山はこの事件から手を引こうと考え、亜美もその事を了承するが、仙石はさらに感じ取った残留思念から「エリカ」と言う女性が4人の人間を探していることを突き止める。
そして佐々部が、エリカに関する情報を持ってきた。
10年ほど前、音楽学校の高原合宿があり、そこに雪絵と殺された2人が参加していたのだ。
警察はネット上の書き込みのIPを調べ、エリカの名前で書き込んだのが雪絵の同級生である伊藤忍(ちすん)であると断定した。

物語中盤まではそれほど悪くない。
野村萬斎、宮迫博之に加え、芸能事務所社長の高畑淳子などが手堅い演技を見せてくれる。
ただし、これは監督の金子修介の力量の限界なのかもしれないが、物語のキーとなる冒頭、雪絵が犯人に襲われるシーンで思いっきり違和感を感じてしまう。
この段階で、まず犯人の属性がわかってしまう。
通常この手のミステリー映画を観に行く観客は、冒頭にヒントが散りばめられていると身構えて映画を観る。
それに対してケアをしなければならないのだが、この映画はその部分で失敗している。
カット割り、スピード感など、もう少しどうにかならなかったのかと思う。

またそもそもの設定の段階で、エリカを両親がいない設定にすべきであった。
そうすれば事件のきっかけから犯人の動機、隠された事実までが、すべてすんなり進んでいく。
エリカの両親を犯人の動機に結び付けたかったのかもしれないが、両親を残した事で、逆に事件の発端から犯人の動機までがとてもギクシャクしてしまった。

ハッキリ言って、役者の演技力が素晴らしいだけに、そのあたりをきちんと整理しておけば相当面白い映画になったと思う。
冒頭の違和感はともかくとして、エリカの両親の設定だけで、ラストもややグズグズになってしまった感がある。
本当に、とても惜しい残念な映画だった。


32.スキャナー 記憶のカケラをよむ男


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