「スポットライト 世紀のスクープ」

これまた日本人には少々わかりづらい作品だった。
かつてボストン・グローブ誌がスクープした、カトリック教会の神父の性的虐待事件をモチーフにした作品だ。

ボストン・グローブはニューヨーク・タイムスの系列新聞となっていたが、長年ボストン市民に愛され、その中の一コーナー「スポットライト」は社会問題を長期間取り扱う目玉コーナーとなっていた。
その「スポットライト」担当チームが、神父による性的虐待事件を調査する事になった。
神父による性的虐待は、これまでも何度かボストン・グローブでも取り上げられていたが、そのたびに圧力が掛ってもみ消されてしまっていた。
スポット・ライトチームは、まず、過去にもみ消された訴訟の証拠開示を要求して提訴を起こす。
並行して当時の関係者と思われる弁護士などに取材を試みるが、守秘義務を理由に誰も話をしてくれなかった。
そこで今度は、被害者組織にコンタクトを取ってみた。
すると、この問題が世間一般が認識している程度の事件ではなく、教会組織全体に巣食う闇である事がわかった。
性的虐待を行っていた神父は、ここ数十年にボストン地区を担当していた神父全体の6%で、実数は100人近く。
被害者は男女を問わず、長年にわたって虐待が行われていたため世代も大きく広がっていた。
しかも教会に通う子どもは神父を本当の神の代理と考え、性的虐待を受けても訴えられない場合が多く、もし親が訴えたとしても、教会はカネと弁護士を使って事件を完璧に隠蔽、問題を起こした神父も配置換えされた新地区で同じ行為を繰り返していた。
さらに取り締まる立場の大司教もこの事態を把握しながら、教会の名誉を護るために是正を行う事をしていなかった。

チームは調査を進めるが、途中で9.11事件が起きて取材が停滞して事もあった。
しかし司法の判断が降りて、かつての訴訟事件の証拠に決定的な手紙がある事発見する。
チームの中でも現場の記者レゼンデスは、その手紙を証拠として記事にして、これ以上犠牲者を出すべきではないと主張した。
だがチームリーダーのロビーは、一人の司教を糾弾しても大司教の謝罪文で終了してしまう、問題を根本から解決するためには虐待を行った神父全員の裏取り調査が必要だと、記事にしようとするレゼンデスを止める。
チーム内の不協和音が響く中、ロビーは親友の弁護士を説得し、神父全体の裏取りを行った。
そして記事が掲載された早朝から、スポットライトの専用電話はパンク状態になった。
同様に、性的虐待を受けた人々からの電話が掛り続けたのだった。

カトリック教会内での大スキャンダルで、当時はアメリカでも大きな社会問題になったらしい。
だが、日本人にはやはりちょっとわかりづらい話ではある。
アメリカ社会でも、子どもは教会に通うが大人になると通わないそうである。
だが子どもにとって、特にあまり裕福ではない家庭の子どもにとっては、教会は重要な場所らしい。
そう言う背景を含めて、やはり日本人には理解しづらい部分が大きい。
GWで子ども向けの作品が一気に公開になった事もあるが、3週目で上映回数が1日1回程度になってしまっているのも仕方ないか。

アカデミー賞では「レヴェナント:蘇えりし者」が監督賞を受賞して話題になっているが、実は作品賞と脚本賞を受賞したのはこの作品である。
時折あるが、今年のアカデミー賞作品も日本人向けでない作品ばかりになってしまったようにも思える。

30.スポットライト 世紀のスクープ



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