年の終わりのお蔵出し3本~北海道はそれ自体がドラマだ~

年の最後のHDDの在庫整理。
なにしろ毎年大晦日の「笑ってはいけない」が6時間、それ以外にも深夜の映画を録画するのでかなり多めに空けないと見たい番組が録画できない。

まず随分前に録画した「プラトーン」。
話題作だがこれまで見た事はなかった。

1967年、エリートのクリス・テイラー(チャーリー・シーン)は両親の反対を押し切り大学を中退、自ら志願して歩兵隊に入隊してベトナムの最前線に派遣されていた。
だたクリスは、入隊一週間で自分の行動を後悔する事になる。
ジャングルに潜むベトコンに米軍は苦戦、全滅する部隊も少なくなかった。
過酷な状況の中、誰もが自分の事で精一杯で、やっかい事や危険な任務はすべて新兵に押しつけられていた。

心が折れ掛けていたクリスも少しずつ最前線の状況に慣れ、所属する部隊の状況が少しずつわかってくる。
小隊長は自分と同じエリートのためあまり場数を踏んでおらず、事実上部隊を指揮しているのはいくつもの死線をかいくぐって来た軍曹のバーンズと、同じく軍曹のエイリアスだった。

バーンズの信条は生き残ることだった。
そのためには非戦闘員を無残に殺す事もある。
一方エイリアスは、戦場でも人間としての心を忘れていなかった。
二人は事あるごとに対立し、殴り合いになる事さえあった。
最前線に投入される歩兵の多くはまともに学校にも行けず、除隊しても職があるかどうかわからない連中ばかりなので、バーンズに傾倒する者も少なくない。
だがクリスはエイリアスに従う事にする。

やがて部隊は敵部隊と正面衝突する。
激しい戦闘の中、エイリアスはバーンズに狙い撃たれてしまう。
バーンズはエイリアスを待たずに救出部隊にヘリを出発するように命ずる。
しかしヘリの上から兵士たちは、負傷しながら逃げ回るエイリアスを発見。
クリスはエイリアス救出のために戻るように叫ぶが、皆の目前でエイリアスはベトコンに撃ち殺されてしまう。

ズバリ言って、いかにもアメリカ人が好きな題材である。
それまで「世界の警察」として負け知らずだったアメリカが、ベトナムで初めて敗北を知る。
そして物質的な損失以上に、アメリカ国民が負った心の傷は計り知れないものだった。

とは言え日本人からすると、「戦争映画」と言う括りになってしまうのでアメリカ人ほどの重みを感じる事ができない。
太平洋戦争の日本軍が題材なら感情移入できるが、ベトナム戦争も第二次大戦中のヨーロッパ戦線も、おそらく大きな違いを感じる日本人は少ないだろう。
まあ、それも無理はない話であり、アメリカではいまだに映画史に残る名作かもしれないが、日本では名作の「One of them」になってしまう。

続いて「探偵はBARにいる」の1、2だ。
この作品は、どちらも本当に良くできている。
札幌が舞台のシリーズであるが、北海道と言う土地自体がドラマであるとも言える。

1は、「近藤京子」と名乗る女からの依頼を探偵(大泉洋)が受けるところから始まる。
女は先にカネを振込み、電話で依頼内容を連絡してくる。
探偵は捜査を進めるうちに、「近藤京子」が2年前の放火事件の巻き添えを食って、すでに死んでいる事を突き止めた。
「近藤京子」を巡って、カギを握る沙織(小雪)と探偵の駆け引きが、この映画のキモである。

一方2は、探偵の仲間だったオカマのマサコちゃん(ゴリ)が殺されたところから、ストーリーがスタートする。
ちょうどその頃探偵は女に入れあげていたため、マサコちゃん殺しの捜査にまったく関わっていなかった。
さらに、証拠が少なく警察の捜査もなかなか進まない。
そんなところに、大阪を拠点とする美人バイオリニストである河島弓子(尾野真千子)が、マサコちゃん殺しの捜査を探偵に依頼する。
マサコちゃんは河島弓子の大ファンで、コンサートにも足しげく通い河島弓子からも自分を応援してくれるファンとして認められていたのだ。
ちょうど女にフラれた探偵は、マサコちゃん殺しの捜査を始める。

マサコちゃんはマジックコンテストで優勝してTVにも出演したのだが、若い頃に国会議員の橡脇孝一郎(渡部篤郎)と付き合っていたことがあった。
橡脇は反原発を旗印にする新進気鋭の若手代議士で、かつてオカマと付き合っていた事がバレればスキャンダルに発展する。
探偵たちは、橡脇陣営の誰かがマサコちゃんを殺したと狙いを付けた。

どちらの作品も、北海道という哀愁の大地を巧くストーリーに取り入れて、ドラマティックに仕上げている。
1では被害者に感情移入し過ぎてしまった探偵が依頼者を護ることできず、探偵の無念がよく表現されていた。
そして2では探偵は体を張って依頼者を護り、ラストの河島弓子のコンサートを立ったまま聞く姿はカッコいいの一言だ。

全体的にはスタイリッシュなテイストの作品だが、非常にタイミング良く笑いも埋め込まれている。
監督と脚本の非凡なセンスを感じる作品だ。
すでに3の制作も発表されているが、大泉洋が出演できるかぎり、寅さん並みに何十作品も作ってほしいシリーズである。


132.プラトーン
133.探偵はBARにいる(再)
134.探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点(再)


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by ksato1 | 2015-12-31 21:40 | 映画 | Comments(0)