「ヴィンセントが教えてくれたこと」

ダメ悪ジジィと少年の友情物語である。

オリバーは両親の離婚により引っ越しをしたが、転居先の隣家に住んでいたのは昼間から飲んだくれているヴィンセントだった。
オリバーが転校したのは、さまざまな宗派の子どもが通っているものの基本はカトリック系の学校で、「たぶん」ユダヤ教徒であるオリバーは初日から学校に違和感を感じる。
そして体育の授業中に着替えと財布、携帯電話、家のカギを隠されてしまう。
母のマギーは病院勤務で忙しく、オリバーは迎えもなく家にも入れなかった。
仕方なくオリバーは、隣家のヴィンセントに電話を借りて母親に電話をする。
母とヴィンセントが電話で話し、オリバーはマギーの帰宅までヴィンセントの家にいる事になった。
さらにマギーの帰宅後にヴィンセントと交渉して、オリバーはその後もヴィンセントに学校の迎えをしてもらい、マギーの帰宅までヴィンセントと一緒にいる事になった。
もちろん有償である。
ここからヴィンセントとオリバーの関係が始まった。

ヴィンセントはオリバーと一緒であっても、これまでのライフスタイルを変えなかった。
基本的に定職に就かず、ポールダンサー兼娼婦、しかも妊娠中の彼女と付き合い(ヴィンセントの子どもかどうかは確認できず)、オリバーと一緒に昼間から競馬場に通った。
カネは借りられるところすべてから借りまくり、借金取りにも追われている。
夜は行きつけのバーにオリバーを連れて行き、バーのマスターからも「もう酒はやめておけ」と言われるくらいに飲んでいる。

だがある日、ヴィンセントがオリバーを介護施設に連れて行った。
そこには認知症になった、ヴィンセントの最愛の妻がいた。
毎週妻の介護に通うヴィンセントを見て、オリバーは彼の優しさを感じていた。

オリバーの父は弁護士だが、オリバーの身辺調査をしてマギーからオリバーを取り戻そうとしている。
そしてヴィンセントに預けている現状は、裁判でマギーにいい方向に働く訳がない。
ヴィンセントは解雇され、オリバーは放課後オリバーの父が雇ったシッターと共に過ごす事となった。
そんな最中、ヴィンセントは酒の飲み過ぎで倒れて入院してしまう。

老人と少年の友情ストーリーという映画は、これまでもたくさんあった。
ちょっと前の、クリント・イーストウッドの「グラン・トリノ」もそうだった。
だがこの手の映画の場合、老人は非常に偏屈で誰からも嫌われているが、彼なりの哲学の基、規則正しく暮らしているのが基本だ。
しかしヴィンセントはそうではない。
映画に登場するチョイ悪ジジィには憧れたりするが、このヴィンセントはダメダメ過ぎてこういう人間になってはいかん、と思ってしまう。
それでも、なんだかんだでヴィンセントは誰からも気に掛けられている。
それは、彼の中に深い優しさがある事を誰もがわかっていて、悪い事ばっかりしていても憎みきれないからだろう。

ヴィンセントを見ていると、どんなに頑張ってもダメな事もあるし、適当に暮らしていてもなんとかなる事もある、人生ってそんなものだと思わせてくれる。
離婚や教育、学校の中の宗教など、アメリカ人の生活スタイルが映画の中で大きな要素を占めているため、ちょっと日本人には全体を理解しづらい部分もある。
なので、あまり話題になっていないのかもしれないが、大人が観る映画としてはなかなか良くできた作品である。


93.ヴィンセントが教えてくれたこと


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by ksato1 | 2015-09-12 12:05 | 映画 | Comments(0)