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「ロマンス」

北條鉢子(大島優子)はロマンスカー内で車内販売員をしていた。
ある日、販売ワゴンからお菓子を万引きした桜庭洋一(大倉孝二)を捕まえる。
その時偶然、鉢子が捨てた母親からの手紙を桜庭が手に入れる。
その手紙は鉢子への別れの手紙で、思い出の場所から旅立つと書かれていた。
桜庭は、鉢子に母親を探しに行こうと誘いかける。
あまり気乗りのしない鉢子を半ば強引に連れ出し、二人は母親探しの旅を始める。

鉢子の両親は鉢子が小学生の頃に離婚しており、その後母は男をとっかえひっかえしていた。
鉢子はその事がトラウマになっており、高校卒業と同時に家を出て、その後は母親と一度も顔を会わせていない。
唯一の手掛かりは、母親が手紙に書いた思い出の場所が箱根と思われる事だった。
二人は箱根中を探索するが、当然そう簡単に母親と巡り合えたりはしない。
やがてその行程で桜庭のバックグラウンドが明らかになり、二人はだんだん心を通わせるようになる。

タナダユキ作品で観たのは「百万円と苦虫女」である。
独特の空間と時間の流れの中で、内向的だった主人公の鈴子(蒼井優)が少しずつ成長する作品だった。
ラストの「そんな訳ないか」という鈴子のセリフはとても印象的で、好きだ。

この作品も、同じような時間の流れで展開して行く。
事実上、大島優子と大倉孝二の二人芝居なのだが、二人とも芝居が巧いので見ていて面白い。
しかし、いかんせん、物語の設定がありふれ過ぎている。
仲違いしてもう何年も会っていない母親を探す女、同行する男も過去を引きずっている、お互い少しずつ打ち解け、旅の最後はわかり合える、こういう展開の映画はこれまでも掃いて捨てるほどあった。
しかも旅の舞台は、今年に入って噴火のニュースがあったものの、元々年間何百万人も観光客が訪れる超メジャー観光地の箱根だ。
目新しい要素が何一つ見当たらない。
そもそもが、おそらくロマンスカーと箱根という観光地ありきで立てられた企画だろう。
そうであったとしても、もうちょっと斬新なストーリーを考える事はできなかったのだろうか。

箱根はとても好きなエリアで、子どもが小さい頃は年に何回もユネッサンにリピートもしていたが、この映画に関して言えば、もっと辺鄙な田舎町を舞台にした方が良かったんじゃないかと思う。
あるいは箱根を舞台にするのなら、鉢子と桜庭がちょっとボケて迷子になった老人の帰る場所を探す、など、ちょっと捻ったストーリーにした方が良かっただろう。


89.ロマンス


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