「優駿 ORACION」

この時期はNHKの終戦特番でHDDレコーダーがパンパンになってしまうため、在庫整理で見る。
記憶にはまったくないが、4年くらい前に録画したようだ。
正直、当時はまだHDDに余裕があったからなんとなく録画したのだろう。
競馬は好きで競馬を題材にしている映画ではあるが、それくらい作品には思い入れがない。

和具平八郎(仲代達矢)は部品機器メーカーらしい会社の社長で、調教師の砂田(田中邦衛)に薦められてサラブレッドの仔馬買う事にする。
生産したのは北海道の小さな牧場で、渡海千造(緒形拳)、博正(緒形直人)の親子二人で経営していた。
ただ、会社の経営が思わしくないため、平八郎は仔馬にあまり興味を示さず、実質的にオーナーの役割をするのは娘の久美子(斉藤由貴)であった。

久美子はある日平八郎から、腹違いの弟の存在を告げられる。
弟の誠(吉岡秀隆)は重い腎臓病を患っており、一親等である平八郎から腎臓移植するしか助かる見込みはなかった。
毎日のように病院を見舞い、久美子と誠は以前から一緒に暮らしていた姉弟のように親しくなる。
そして久美子が仔馬の話をすると、誠は仔馬の成長を生きる糧とするようになった。

仔馬は順調に育ち、オラシオンと名付けられ、渡海親子の小さな牧場から大牧場に移って馴致されるようになる。
いよいよデビューを控えて美浦のTCに入厩するのだが、輸送中に博正が輸送車の運転を誤り、オラシオンは脚をケガしてしまう。
ケガのために調教スケジュールが遅れ、デビューも1カ月先送りになってしまった。
誠がデビューまで生きていられないかもしれない。
久美子と博正は誠を病室から連れ出し、早朝の調教で走るオラシオンを見せる。

その後、負債を抱えた平八郎の会社は大手に吸収合併される。
平八郎は社長の座を退き、一度も会った事のない誠を見舞う。
誠は平八郎に「腎臓をください」と懇願しながら息を引き取った。

オラシオンはデビュー後に快進撃を続けるが、ある日スタート直後に落馬をしてしまう。
その原因は、どうも輸送途中に追った脚の古傷が原因のようだった。
責任を感じる博正。
しかしその後はオラシオンは順調に勝ち星を積み上げ、いよいよダービーが迫ってきた。
ダービーの前週、平八郎、久美子、砂田、博正、騎手らが集まり、ダービーに出走するかどうかの相談を行っていた。
距離適性を考え、ダービーは回避した方がいいと提案する砂田。
平八郎もその意見に同意する。
だが、その時に電話が鳴り、博正の父の千造が胃がんで逝去した事を知らされる。
それを聞いた久美子が、オラシオンは希望の馬だから、ダービーに挑戦するべきだと主張、皆も同意した。

バブルの頃に作られた映画なので、あまり深く考えて作られた作品ではないのかもしれない。
正直、誰に向かってどんな映画を作りたかったのか、まったく意図が見えない。

原作では、会社経営に行き詰った和具が、一か八かで買った馬券で儲かって会社を立て直すらしいのだが、そのあたりの表現がない。
会社が危ない時期にわざわざ娘と一緒に北海道まで仔馬を見に行っているのに、まったく興味を示していない。
愛人から、自分の息子が助かる唯一の方法は、平八郎が腎臓を提供する事だと言われても、驚くほど冷たくあしらってしまう。
そんなに自分の会社が大事なのかとも思うが、会社に対して心血を注いでいるシーンもほとんどない。
物語の動機付けとなる部分がまったく描かれていないため、映画全体がなんだかとても薄っぺらく見えてしまう。

さらに、競馬のエピソードの描き方もお粗末。
デビュー後の戦績もはっきりせず、いとも簡単にダービーに出走してしまう。
オラシオンのライバルらしき馬も描かれず、ダービーでどれくらいの人気になっているかもわからない。
競馬を題材にした映画としては、あまりにもお粗末な展開だ。
原作はJRA賞馬事文化賞を受賞し、映画もJRAが全面的に協力している。
それでこの内容かよ、と、競馬をちょっとでも知っている人なら突っ込みたくなるだろう。

北海道の大自然が舞台という事で、監督は「北の国から」の杉田成道が担当している。
「北の国から」のように北海道の自然は美しいのだが、ストーリーが薄っぺらいために映像の美しさもなんだか安っぽく見えてしまう。
フジテレビが大々的にプロモーションをしたため観客動員は伸びたのだろうが、おそらく関係者の誰もが「この作品は自分史の中の黒歴史」と感じているのではないかとも思う。


78.優駿 ORACION

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