「戦場のメリークリスマス」(再)

8/15前後はNHKで太平洋戦争のスペシャル番組、映画の放送が多く、その一環として放送されたと思われる「戦場のメリークリスマス」を録画して見た。

公開されたのが1983年だが、この映画は封切り当時に映画館で観ている。
その時はラストのビートたけしの「メリークリスマス!Mr.ローレンス!」のセリフだけ強い印象で覚えていた。
だが、今この作品を改めて見ると、いろいろな事がわかる。

主演の坂本龍一、デビット・ボウイ、ビートたけしらは、本来別の俳優が演じる予定だったとの事。
だが、最初にキャスティングを考えられた役者たちはスケジュールが合わなかったため、彼らに配役が決まったようだ。
特に、たけしが演じたハラ軍曹は、勝新太郎という案もあったらしい。
当時は、演技は素人である坂本龍一とビートたけしについて賛否両論あったが、今見てみると逆に映画全体にいい影響を与えるているんじゃないかと思う。
そもそも日本人のキャスティングについてはこの二人以外にも、内田裕也、三上寛、ジョニー大倉など、ミュージシャンが出演している。
これら、本職が役者ではない出演者のややぎこちない演技が逆に、戦場と言う狂気の世界の絶妙な緊迫感を引き出しているように思う。

また、日本人の監督なら2.26で死にそびれたヨノイ大尉(坂本龍一)の屈託をもっと前面に押し出したくなりそうだが、大島渚はそこを深掘りしていない。
おそらくは貧しい村で育ったと思われるハラ軍曹についても、兵士の遺族を思いやるセリフだけで、彼のバックグラウンドを表している。
外人にわかりづらい部分をくどく説明することなく、日本人なら感覚で理解できるところをキッチリ押さえている。

かつて、若さゆえに自分を慕っている弟の心を深く傷つけてしまったセリアズ(デヴィッド・ボウイ)はいまだに自分を許すことができていない。
同じように、ヨノイは2.26で仲間たちと一緒に自決できなかった自分を許せていない。
日本とイギリス、それぞれの国らしい理由で過去を背負う二人だが、前に進もうとしたセリアズによってヨノイは感化される。

坂本龍一の化粧顔やデビット・ボウイの髪形などは、映画公開時のみ許された流行で、今見るとかなり違和感がある。
その部分を差し引いたとしても、説教臭くなくシンプルに戦争を語る佳作だと思う。


77.戦場のメリークリスマス(再)


※こんな本書いてみました。
よろしかったらご購読ください



●放射能ヒステリックビジネス

http://www.amazon.co.jp/%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E3%83%92%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9-%E4%BD%90%E8%97%A4%E7%9D%A3%E8%AA%8C-ebook/dp/B00DFZ4IR8/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1404017694&sr=8-1&keywords=%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E3%83%92%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9
[PR]
by ksato1 | 2015-08-09 16:23 | 映画 | Comments(0)