「ストレイヤーズ・クロニクル」

子役からの叩き上げや、ここ数年脚光を浴びている実力派若手俳優をズラリと並べている。
ゲスの極み乙女。の主題歌も世界感にあっており、予告編を見た段階ではかなり期待していた。
だが残念ながら、期待通りの作品ではなかった。

1990年代前半、人工的に人を進化させるプロジェクトが進行した。
第一弾として実施されたのが、両親に過度なストレスを与えて脳内のホルモン構成を変化させ、生まれてきた子どもたちにも同様のストレスを与える実験だ。
ストレスを与えられた子どもたちは脳を活性化し、超人レベルの才能を発揮することになる。
第二弾は、人類以外の遺伝子を組み込み、新たなる生命体を生み出すプロジェクトだった。
そしてプロジェクトとしては、第二弾の方がより効果的に人類を進化させることができると判断、第一弾の子どもたちはプロジェクトから外れ、里親の元に引き取られていった。
だがその後、第二弾の子どもたちはプロジェクトから逃げ出してしまう。

第一弾プロジェクトの実験体であったスバル(岡田将生)たちは、プロジェクトの統括をしていた渡瀬(伊原剛志)の庇護のもと暮らしていた。
渡瀬から依頼を受け、亘(白石隼也)、良介(清水尋也)と3人で仕事をしていた。
だがある日、亘が「破綻」してしまう。
「破綻」とは、脳に過度にストレスを与え続けることにより、脳がオーバーヒートして活動を停止してしまう事だ。
過去にも仲間の寛人が「破綻」を来たし、自ら命を絶っていた。

一方第二弾プロジェクトのメンバーは、能力を持つ半面激しい新陳代謝のため急激に老化が進み、20歳前後が寿命と考えられていた。
第二弾プロジェクトはチーム「アゲハ」を名乗り、リーダーの学(染谷将太)を中心に殺人も厭わない行動をしていた。

アゲハの目的が、アゲハたちの生みの親リム博士(団時朗)だと知った渡瀬は、スバルたちに学の確保を依頼する。
その際スバルたちはチームアゲハと邂逅、彼らの目的が自分達の寿命を延ばすことだと知る。
だが遺伝子操作されたチームアゲハのメンバーの寿命を延ばす方法は、存在しなかった。

設定、世界感はかなり面白い。
そして役者の演技も素晴らしく、特撮もなかなかいい仕上がりだ。
だがいかんせん、脚本と特撮以外の演出が下手すぎる。

まず、チームアゲハの設定が確定していない。
寿命が近づいている事に関して焦っている雰囲気もなければ、達観している雰囲気もない。
プロジェクトから逃げて隠れて住んでいるという設定なのに、悪徳国会議員や臓器売買組織に制裁を与えたりしている。
寿命を延ばすための活動、もしくはすでに達観して自分達が存在した証を残すために正義の行動をしているのかと思いきや、そのどちらでもない。
だったらなんのために、犯行後にカードを残すような目立った行動をしているのか。
非常に中途半端な設定になっている。

対するスバルのチームは、主力である亘が序盤で早々にリタイアしてしまう。
その結果、チームアゲハとは圧倒的な戦力差ができ、その状況で戦わなければならない。
この図式はかなりワクワクさせてくれる。
だがスバルのチームが全員で団結して対抗するのかと思いきや、意外と機能しないメンバーもいて、結果的には展開の流れの中でチームアゲハとの戦力の差がウヤムヤになってしまう。

それ以外でも、登場人物の使い方がもったいない。
特にもったいないのが、碧(黒島結菜)たちの隣に住む大学生(本郷奏多)だ。
展開的に考えて、おそらくもう少したくさん撮影したシーンもあったのだろうが、上映時間の関係で編集でカットされたんじゃないかと思われる。
しかし、未来がなく戦いに明け暮れる碧たちにとって、唯一の明るいエピソードが隣に住む大学生なのだ。
豊原功補もなんだか非常に中途半端な噛ませ方で、これなら無名の役者にさらりと演じさせた方が良かったと思う。

またチームアゲハのメンバーが、寿命が近づく事によって能力が落ちてくる様子を、もう少し可視化した方がよかっただろう。
そのあたりをすべてセリフに頼ってしまったため、緊迫感が伝わらなくなってしまった。
碧が序盤以降、まったく「力」を使わない理由も語られていない。

あり得ない運命を背負わされた学を演じる染谷将太の存在感は素晴らしく、それに対するいかにもリーダー的な岡田将生の演技もいい。
成海璃子、松岡茉優、黒島結菜の、女優陣の演技も期待通りだった。

中盤、意味の不明のカット割りがあったり、主題歌の挿入の仕方もかなり強引だった。
小手先のテクニックに走った感があり、「この映画を面白くするんだ!」という意気込みが伝わってこない
題材、役者が良かっただけに、制作陣にももう一踏ん張り、いや二踏ん張りくらいしてもらいたかった。


59.ストレイヤーズ・クロニクル

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by ksato1 | 2015-07-01 22:07 | 映画 | Comments(0)