「予告犯」

予告編がかなり面白そうなので観に行ったが、もう一息かな、という感想だった。

ネットの動画サイトに、新聞紙を被った男の犯行予告がアップされた。
食中毒騒動を起こしながらきちんと謝罪をしない食品加工会社に制裁を加える、という内容だった。
そして翌日、食品加工会社の工場が放火された。

警視庁サイバー犯罪対策課が調べたところ、新聞紙の男はそれ以前にも犯行を予告し、実行していた。
ターゲットになったのは、バイト先の厨房でゴキブリを素揚げにしている動画をアップした男、強姦された女性に対してTwitterで侮辱的な発言をした学生である。
新聞紙を被った男はネットで話題となり、その風貌から「シンブンシ」と呼ばれていた。
サイバー犯罪対策課は犯人を「新聞男」と命名し、動画をアップしたIPアドレスからネットカフェを探索する。
だが、なかなか「新聞男」の正体を掴むことができない。
やがて捜査の過程で「新聞男」は4人のグループであることが判明する。

新聞男のリーダー(生田斗真)はゲイツと呼ばれていた。
元々はプログラマーで、派遣社員から正社員になるべく必死に働いていたが、その努力は社長と正社員たちに無残に踏みにじられてしまう。
ショックを受けた彼は病気となり社会からスピンアウトし、その後まともな仕事に就く事ができなくなってしまった。
仕方なく産業廃棄物を取り扱うタコ部屋で働くのだが、そこでカンサイ(鈴木亮平)、ノビタ(濱田岳)、メタボ(荒川良々)と知り合うのだった。

4人がなぜ新聞紙を被って社会悪に制裁を行う事になったのか、ストーリーのキモはそこにある。
だがこの部分のモチベーションが、やや甘い。
原作がヤングジャンプで連載されたようで、マンガとしては悪くないストーリーだったのだと思うが、実写の映画としては説得力が薄い。
脚本的に、4人のバックグラウンドと彼らの絆の強さをもっともっと強く表現する必要があっただろう。
途中、ノビタの心がややくじけそうになる。
行きつけのラーメン店の店員に心を惹かれるからだ。
その部分もかなりあっさりしており、あの程度で心が揺れてしまうのなら最初から計画に参加しなかったんじゃないかとも思う。

ただ、それでもそこそこまとまった作品になっていたのは、役者の演技力と監督の力量だろう。
特に、中盤でサイバー犯罪対策課長の吉野(戸田恵梨香)がゲイツを追い掛けるシーンは圧巻だ。
シーンとしてはおそらく10分程度の長さだと思うが、このシーンが映画全体をグッと引き締めている。
鈴木亮平、濱田岳、荒川良々ももちろん芸達者なのだが、彼らのバックグラウンドの掘り下げ方が足りないから、非常にもったいない感じになってしまった。
できるだけ原作の世界観を崩さないように作られたのだとは思うが、逆に実写映画としての面白味が足りなくなってしまった感じだ。


52.予告犯


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by ksato1 | 2015-06-20 20:49 | 映画 | Comments(0)