「滝を見にいく」

ギンレイで鑑賞。
併映の「紙の月」はすでに観ているのでスルー。

「南極料理人」「キツツキと雨」「横道世之介」の沖田修一監督作品だ。

妙高の山奥に、紅葉と滝を見に行くバスツアーに参加した7人の女性。
しかしツアーガイドが初心者のスットコドッコイ野郎のため、途中で遭難してしまう。
40代~60代の女性7人は、友人、知り合い2人組で参加した4人と、一人で参加した3人の構成だが、一緒に参加した2人組×2を除き、このツアーで初めて顔を合わせている。
お互いを良く知らない7人は、秋の山中で一晩を過ごすこととなった。

この監督特有の、独特のゆったりとした間でストーリーは進んでいく。
木の上から見下ろすアングルや地面から見上げるアングルなど、なかなか面白い見せ方をしている。
だが、映画の前半部は正直退屈だ。
前半部で一人ひとりのキャラの説明が少なく、かつ遭難しそうな状況なのに慌てて取り乱す者が一人もいない。
リアリティを追及するために、脚本もドラマっぽくせず淡々と進めたのかもしれないが、秋に山で遭難しそうなのに誰一人取り乱さないという展開は、逆にリアリティがない。
普通ならオバちゃんが7人もいれば一人くらい、パニックになってキィキィ騒ぎ出す者がいてもおかしくない。
あるいは、人の話を遮ってずーっと自分の話ばかり一方的に喋りまくる空気が読めないオバちゃんもいない。
いずれにしろ「オバチャンあるある」がほとんどないので、キャラ設定がやたら淡泊になってしまっている。
さらに、遭難の途中で一人はギックリ腰を発症し、歩くのもやっとな状態になるのに、自分だけ助かろうとかそういう人もいないので、あんまり緊迫感も伝わってこない。

だが、後半はなかなか面白くなる。
野宿を決断し、それぞれ枯れ葉や食料を集めに行く。
夜が明けるとみんなが暇つぶしに小学生のような遊びを始めるのだが、他にやる事もないので、草を引っ張る相撲や縄跳びにみんな本気になってしまう。
なんだかわからない連帯感が生まれ、お互いの距離感が絶妙になる。
ラストでみんなで滝を見に行くのも頷ける。

7人の女性は、40歳以上と言う条件だけで選ばれた人たちである。
そのため、多少の演技の拙さは仕方ないかもしれない。
とは言え、そういう条件で映画を撮ると決めた以上、それを含んだ形で脚本を書き、演出を行う必要がある。
それがきちんと詰められていなかったから、前半部が退屈になってしまったのだろう。
7人全員をオーディションで選んだ、という部分だけが先走ってしまった感がある。

企画の意図はわかるが、映画としてはもう一捻り欲しかった。


35.滝を見にいく


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by ksato1 | 2015-04-20 06:21 | 映画 | Comments(0)