「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」

今年の米アカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞、撮影賞の4冠を獲った作品だ。
なるほど、実際に映画を観るとこの4部門で受賞したことが頷ける。

リーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、およそ20年前に「バードマン」というヒーロー映画で人気を博した俳優だ。
しかしその後はまったくヒット作がなく、自ら企画、脚本、演出、主演を担当するブロードウェイで再起を図ろうとしていた。
だが、ブロードウェイではハリウッド俳優への視線は厳しく、リーガンの作品はあまり評価が上がらない。
さらに、プレビュー公演直前に共演者が稽古中に事故を起こしてしまう。
共演者が自分の恋人でもあるブロードウェイのスター、マイク(エドワード・ノートン)を連れてくると、その事で作品は一気に話題となるのだが、このマイクがなかなかのトラブルメーカーでリーガンを悩ますことになる。
リーガンは予算をかき集めて今回の舞台に勝負を掛けているのだが、彼を悩ます問題が次々と派生する。
そのたびに、もう一人の自分が批判する声が聞こえてくるのだった。

落ちぶれた役者が再起をはかるというストーリーだが、脚本と見せ方が秀逸だ。
まず、最初から終盤までワンカメラで展開する。
正確には、画面が暗くなった瞬間や固定で通路を映すシーンなどでカットを変えて巧く編集しているのだろうが、見ている限りでは常にワンカメラで回しているように見える。
しかもカメラワークが卓越しているため、手持ちカメラで撮影しているようなアングルにもかかわらず、手ぶれなどがまったくなく違和感がない。
この事を知らずに見始めたため、ワンカメラ風に撮影、編集されている事に気付いたのは上映開始から15分ほど経ってからだった。
シニカルなセリフ、やや無茶な展開も大人の映画としてかなり楽しめる。
リーガンの超能力が本当の超能力なのか、あるいはただの妄想なのか、そのあたりのさじ加減も絶妙だ。

ズバリ言って、自分の人生がもうだいたい見えかけている中年以降じゃないと、リーガンにあまり感情移入できないかもしれない。
逆に中年以降の人、特に映画が好きな人にとっては、追い詰められたリーガンの心情と撮影手法の新しさという二つの点で、かなり楽しめる映画だと思う。


33.バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)


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by ksato1 | 2015-04-15 07:46 | 映画 | Comments(0)