「ソロモンの偽証 前篇・事件」

宮部みゆきの原作は読んでいないが、監督が「八日目の蝉」の成島出、予告編も良い出来だったのでかなり期待して観に行った。
結論としては、前編を見た限りでは非常に完成度の高い映画である。

藤野涼子は父が警察官で、公立中学に通う普通の中学生だった。
ある日、学校で飼っているウサギの世話をするために早朝に登校すると、ウサギ小屋の前でクラスメートの柏木卓也の転落死体を発見する。
遺書は発見されなかったが、状況から鑑みて警察は自殺と判断した。

しかし、しばらくすると藤野涼子の自宅に、柏木卓也は自殺ではなく他のクラスの生徒に屋上から突き落とされたという告発文が届いた。
告発文は他の教師などにも届いていたが、学校は警察と相談し、この告発文の内容を信じない事にする。
だが、担任教師の森内(黒木華)宛に出された告発文がふとしたことからTV局に届いてしまい、中学はニュース番組のしつような取材攻撃に合い大騒ぎとなってしまう。

告発文を出したのは、藤野、柏木のクラスメートである三宅樹里だった。
三宅は浅井松子とともに、犯人扱いされている大出俊次に暴力を振るわれており、その事を恨んでいた。
三宅樹里は勉強もできて見た目もそこそこ可愛いのだが、顔中のニキビに悩んでいた。
一方、浅井松子はやや太めでおおらかな性格で、三宅に心酔していた。
二人は共謀して告発文を出したのだが、騒ぎが大きくなり大出たちが責められる事に希望を持っていた。
しかし大騒ぎになったあとの緊急保護者会で、告発文の内容に矛盾がある事でイタズラだと結論づけられてしまう。
その事実を母親から聞いた浅井松子は絶望し、夜半に三宅の元に走るのだが、その途中で交通事故に会いこの世を去ってしまった。

事件がどんどん大きくなる事が我慢できなくなった藤野は、自分達の手で本当の真実を知ろうと試みる。
最初は及び腰だったクラスメートも、藤野の強い呼びかけに感化され、またそれを必死にもみ消そうとする教師たちに不信感を持つ事で逆に結束を強くしてしまう。
唯一生徒の味方であった教師の北尾(松重豊)の後押しもあり、藤野たちは夏休みに自分達の裁判を実施することにした。

生徒が学校で裁判を開催できるのか、この部分がこの物語のキーである。
だが前半部のストーリー展開が巧く、さらに教師が無理に自殺で片を付けようとする強引さが裏目に出る演出が素晴らしいため、違和感を感じない。
前半部では生徒間のドロドロした関係を少しずつ、かつこれでもかと展開し、観ている者のフラストレーションがジワジワ溜まっていく。
そして、学年主任の高木(安藤玉恵)をはじめとする、事なかれ主義に走る教師たち。
この対比が絶妙なため、生徒たちの「真実を知りたい」という要求にどんどん感情移入してしまう。

ただ、この作品でもう一つキーとなるのが、被害者の柏木卓也とその親友の神原和彦だ。
柏木は中学生離れした謎の言動と行動を残してこの世を去る。
そして神原は中学生でありながらすでに凄惨な人生を経験している。
この二人の役どころがミステリーとしてのこの作品の最大のポイントともなるので、後編できちんと納得できる展開となれば、全体を通して素晴らしい作品と言う評価になるだろう。
後編も楽しみである。


29.ソロモンの偽証 前篇・事件

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by ksato1 | 2015-04-08 07:50 | 映画 | Comments(0)