「マエストロ!」

バイオリニストの香坂真一(松坂桃李)は、コンサートマスターを勤めていた中央交響楽団が経営難で解散に追い込まれ、他の楽団のオーディションを受ける毎日だった。
そんなある日、中央交響楽団復活の知らせが入る。
香坂が練習場所に訪れると、そこにはかつてのメンバーが集まっていた。
だが練習場所は今にも崩壊しそうな倉庫、しかも楽団を招集した指揮者の天道徹三郎(西田敏行)は、誰も名前が知らない無名の男だった。

一見素人と思われる天道が、いろいろな楽器の演奏者に適確な指示を出して、楽団を復活させる物語だ。
原作はさそうあきらのコミックスであるが、正直ストーリー的にはよくある話である。

ただ、天道役の西田敏行が音楽への激しい情熱を見せてくれる。
楽団のメンバーはそこそこ技術があるものの、一歩突き抜ける事ができずにくすぶっている状態だ。
楽団自体が経営難に陥ったのも、個々のメンバーが自分で自分の能力に限界を作ってしまい、情熱ある演奏ができなくなってしまった事にも要因があるようにも見える。
唯一、コンマスの香坂だけは精進を重ねているのだが、香坂が性格上皆を気遣ってしまうため、メンバーは彼に甘えてさらに自らの成長を止めてしまっている。
そんな中、天道にスカウトされたド素人の橘あまね(miwa)がフルートの第二奏者として参加する。
彼女が過去を背負ってフルートを吹いている事を、天童は見抜いていたのだ。

「人、一人殺すくらいの覚悟で演奏しろ!」

中盤のシーンの天道のセリフが、この作品を引き締めている。

もちろん、西田敏行以外の役者も秀逸だ。
プライドはあるものの限界が見えてしまった事による挫折、しかしなかなか諦めが付かないメンバーの迷いを、それぞれがきっちり演じている。

ただ、中盤以降がかなりダレてしまう。
天道の手腕により楽団のレベルがどんどん上がって行くのだが、天道がかつて詐欺行為をした事が判明してスポンサーが降りてしまう。
コンサートの実施が不可能になりかけ、一つになりかけていたメンバーの心は再び散り散りになる。
そこから再びメンバーが終結する部分がこの映画のキモなのだが、コンサートの実施までの話がかなり不鮮明。
そもそも最初のスポンサー集めにどれだけ苦労したのかが描かれていないため、スポンサーが降りた時点での深刻さが伝わってこない。
かつ、その後のスポンサー集めもあまりきちんと描かれていないので、スポンサーが降りるという起承転結の「転」の部分の重みがまったくなくなってしまっている。
また天道と香坂の関係も舌足らずでわかりづらかった。
それならばいっその事スポンサーが降りる話はなくしてしまい、天道と香坂、そしてメンバーの方向性の違いによる確執で「転」を作った方が、全体がまとまったんじゃないかという気がする。

途中までの盛り上がりが良かっただけに、中盤以降が残念な印象になってしまった。

135.マエストロ!(番号振り間違えによる降番)


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by ksato1 | 2015-02-06 23:44 | 映画 | Comments(0)