人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「WOOD JOB!~神去なあなあ日常~」

「ハッピーフライト」で失速し、「ロボジー」で復活した矢口史靖監督作品である。
予告編を観て面白そうだと思いかなり期待して観に行ったが、「さすが矢口史靖!」と言えるほど面白い作品であった。

平野勇気(染谷将太)は友人の中で一人だけ大学入試に失敗し、半ばヤケクソで1年間の林業研修に参加する。
やって来たのは三重県の山奥の神去(かむさり)村。
携帯の電波は入らず最寄りのバス停までは車で2時間、単線の鉄道は日に数本しか走っていない。

山奥という環境と林業の厳しさに、最初の全体研修中から何人も逃げ出し、もちろん勇気も逃げ出そうとするのだが、林業研修に参加するきっかけとなるパンフレットの表紙に掲載された直紀(なおき、長澤まさみ)に出会い、思いとどまる。
そして全体研修後は、直紀が住むさらに山奥にある中村林業に研修生として参加する。
その後は、勇気が林業と山奥の村独特の慣習に振り回され、直紀への下心も含んださまざまなエピソードが展開する。

面白さの第一の要因は、勇気の屁タレっぷりである。
単純に都会育ちで根性がないだけではなく、直紀への下心が絡むと結構な気合いを発揮する。
そして林業でもまれて行くうちに、誰からも好かれて認められる男へと成長するのだ。
その勇気を染谷将太が見事に演じていた。
卒業式直後のバカ騒ぎなど神去村に行くまではかなり薄っぺらい人間であったが、ラストはとてもいいヤツに変貌している。
まだ今年後半の映画も残っているが、この演技なら今年の映画賞の主演男優賞を総ナメにする可能性もある。

そして脇役陣の、実直で一生懸命に生きる農村の人々の演技も良かった。
特に「海猿」の伊藤英明を、中村林業のエース飯田与喜に配した事が効いていた。
「海猿」で鍛え上げられた肉体は、林業に実直、有り余る体力と自分の下半身にも実直という部分でハマり役であった。
それ以外でも長澤まさみ、優香、西田尚美の女優陣をはじめ、すべての登場人物が神去村に溶け込んでいた。

また、ラストの祭りのシーンの映像も迫力満点だ。
もちろんCGをはめこんでいるのだとは思うのだが、映像に無理がない。
どうやって撮影したのか、メイキング映像も観てみたい。

矢口史靖作品は笑いを前面に押し出した作品が多いが、今回は感動ストーリーが大きな主軸となりそこに笑いを組みこんでいる。
そういうい意味では、矢口映画の中でも完成度が一番高い作品と言えるかもしれない。

文句なくオススメ二重丸の一本だ。


68.WOOD JOB!~神去なあなあ日常~


※こんな本書いてみました。
よろしかったらご購読ください


●放射能ヒステリックビジネス

http://www.amazon.co.jp/%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E3%83%92%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9-ebook/dp/B00DFZ4IR8/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1371517543&sr=8-1&keywords=%E6%94%BE%E5%B0%84%E8%83%BD%E3%83%92%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%AA%E3%83%83%E3%82%AF
by ksato1 | 2014-05-15 21:52 | 映画 | Comments(0)