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「ゲノムハザード ある天才科学者の5日間」

原作はサントリーミステリー大賞読者賞を受賞しているらしいが未読。
原作にどこまで忠実なのかわからないが、ミステリーとしてはかなり強引なストーリー展開だった。

デザイナーの石神武人(西島秀俊)は誕生日に会社に届いたプレゼントを受け取る。
送り主は不明、プレゼントにはハングル語のメッセージが書かれたロウソクのポラロイド写真が付いてた。
そして石神は、なぜかこのハングル語が読めてしまう。
その日退社後、石神は妻と待ち合わせて親友がマスターのバーに立ち寄ろうとするが、妻とは連絡が取れず、なぜか店もその日は閉まっていた。
仕方なく帰宅する石神だが、部屋にはポラロイド写真のようにロウソクが並べられている。
そしてリビングには妻(中村ゆり)の死体があった。
石神が驚いている時に玄関のチャイムが鳴って、二人の男が部屋に入って来る。
二人が自分たちは近所で起きた事件の聞き込みをしている刑事だと言うので、石神は奥の部屋で妻が死んでいると告げる。
しかし3人がリビングに戻ると、妻の死体はなくなっていた。
怪しい言動を取る石神を、刑事たちは車に乗せて連行する。
だが車内で刑事たちはハングル語で「オ・ジヌを知らないか?」と尋ねてくる。
危険を感じた石神は車から逃げ出し、ちょうど通りかかった韓国人ジャーナリストのカン・ジウォン(キム・ヒョジン)に助けられた。

日韓共同製作の映画だが、監督・脚本を韓国人が担当しているためか、良い意味で雑だが勢いのある映画である。

石神は元々韓国人の天才物理学者なのだが、彼がなぜ日本人のデザイナー石神となっているのか、そして妻を殺したのは誰なのか。
その謎の中心となるのは、記憶遺伝子に関する研究データである。
ただ、このデータの科学的根拠がかなりトンデモだ。

記憶の塩基配合を閉じ込め、それを本人、あるいは他人の体内に入れると、閉じ込めた記憶がよみがえると言う設定である。
しかも、その塩基配合を閉じ込める媒体がウイルスだ。
ウイルスなら一つ一つの個体は単体の塩基配合の保持しかできないと思うので、記憶すべてをウイルスに閉じ込めるのは不可能ではないだろうか。
もちろん無数のウイルスを使って記憶を閉じ込める事はできるかもしれないが、その配列はすべて元となる記憶と同じ配列にならなければならない。
無数のウイルスが同じ順番に並ぶと言うのはどう考えても無理があるだろう。

その他にも、序盤で石神はファミレスから逃げ出すのだが、入口にバーのある駐車場からそのまま飛び出していく。
出口はハッキリと映っていないが、入口にバーがあるのなら出口にも必ずバーがあるはずで、本来ならそのバーに足止めされて追手に捕まっているはずである。
また同じ序盤で、石神が家の場所を思い出して帰宅するのだが、これが直前まで住んでいた家なのかそれ以前の記憶の家なのか、非常にわかりづらい。
そのため妻が殺された部屋に戻った時、「あれ?この家は半年前から別の夫婦が住んでいる部屋だったんじゃないの?」と混乱してしまう。
序盤は謎が深まっていく段階なので、このあたりは一目見て別の部屋である事がわかるような工夫が欲しかった。

おそらく、日本でカーチェイス撮影の許可が取れなかった事により、カーチェイスの撮影のためだけにソウルのシーンをいれたのだと思うが、その結果ストーリーもややぎこちなくなってしまう。
直後に、パスポートを持たない石神がどうやって日本に戻ってきたのか説明がない。

ただ、こう言った雑な部分もスピードと勢いで押し切ってしまう。
石神が自分は誰なのか、少ない手掛かりから謎を追い続け、すべての謎が解き明かされると今度は激しいカーチェイスが始まる。
「シュリ」や「チェイサー」に似ているかもしれない。
そしてこのスリリングな展開をさらに面白くしているのは、西島秀俊の演技に他ならない。
韓国の俳優の日本語はややたどたどしいのだが、西島秀俊はいい演技を見せてくれる。

雑な部分が目立つので好き嫌いはかなりハッキリ分かれると思うが、韓国のアクション映画が好きな人ならば満足する作品だと思う。


25.ゲノムハザード ある天才科学者の5日間


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by ksato1 | 2014-01-29 07:02 | 映画 | Comments(0)