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今頃2013年オレ的映画総括

すでに今年も映画を何本か見ているが、今頃2013年の映画のオレ的ランキングである。

去年は全部で103作品、2006年から観た映画をすべて記録しているが、この8年で二番目に少ない数である。
一番少なかったのが、それほど意識的に映画を観ようと思っていなかった2006年だったから、事実上ここ数年で一番少なかった年と言えるだろう。
内訳は、ロードショウも60本で少ないのだが、それよりもギンレイがたったの10本だった。
年会費1万円払っているので、単純に割ると1本1000円である。
観たい映画が多くなかった事もあるのだが、ちょっと少なすぎた感もある。
それ以外はDVDが3本で、TV放送を録画した物が30本。
さらにTV放送録画は、半分が既に観た事がある作品を再度見直した物なので、新作はかなり少なかった年になってしまった。

そういう事情もあり、今年のランキングは例年に増してさらに偏ったランキングになってしまっている。

1.きっと、うまくいく
2.ローン・レンジャー
3.探偵はBARにいる2
4.ジャンゴ 繋がれざる者
5.清州会議
6.ホワイトハウス・ダウン
7.ホビット 思いがけない冒険
8.利休にたずねよ
9.TED テッド(日本語吹替版)
10.ラストスタンド


1位はインドの映画の「きっと、うまくいく」。
もちろん人それぞれ好みがあるとは思うが、この映画を素直に楽しめない人は、きっと不幸な人だと思う。
ストーリー中のエピソードは20世紀臭さが残っているものの、全体の構成、演技力が秀逸。
唯一の欠点は上映時間が長い事だが、笑って泣いて、最後はいい気分にさせてくれる映画だ。
「オレ的死ぬまでに一度は見ておきたい映画」に入る。

2位は「ローン・レンジャー」。
これもやや長めの映画だが、スピード感があり最後まで飽きずに楽しめた。
理屈抜きで楽しめ、と言うよりは理屈で説明できない部分はすべてなかった事にしてしまうと言う荒業を使っており、「痛快」という言葉がピッタリくる作品である。
唯一の欠点は、ジョニー・デップのトントがジャック・スパロウとイメージが酷似している事。
まあ、欠点というほどでもないかもしれないが・・・。

3位は「探偵はBARにいる2」だ。
今年の邦画ではオレ的ベスト1、前作もよかったが本作品もセンスの良い作りで非常に面白かった。
続編も予定されているとの事で本当に楽しみである。
寅さんシリーズのように毎年数本制作という訳にはいかないかもしれないが、大泉洋がギブアップするまで延々作り続けて欲しい。

4位は「ジャンゴ」。
この作品もかなり長かった。
だがタランティーノらしく豪快なストーリー展開で、やはり最後まで飽きることなく楽しめた。
人がバンバン殺される映画なのだが、ジェイミー・フォックス演じるジャンゴが妻を取り戻すためになりふり構わず突き進む姿には、感動してしまった。

5位の「清州会議」は、ここのところの三谷幸喜作品としては若干短めの映画である。
ただ内容は充実しており、メインの役所広司、大泉洋、小日向文世、佐藤浩市の演技はもちろんの事、脇役陣の演技も完ぺき、特に中谷美紀の踊りは素晴らしかった。
ねねがこういう人物だったからこそ、秀吉も出世したんだと思えた。
ちなみにオレ的予想だと、大泉洋がいろいろな映画賞で助演男優賞を取るんじゃないかと思う。
大泉洋は「探偵はBARにいる2」もあるので、役所広司と主演男優賞を争ったらちょっと面白い。

6位は「ホワイトハウス・ダウン」。
あまり話題にならなかったが、この映画もかなり面白かった。
テロに占拠されたホワイトハウスから、ボディガードが大統領とともに脱出する話である。
全般的に「ダイ・ハード」に似ている部分もあるのだが、無駄にスケールを大きくしなくても、限られた空間を巧く使えばいくらでも面白い映画が撮れると言う見本のような映画である。
「ジャンゴ」だったジェイミー・フォックスが大統領役で出演しており、演技の幅の広さを見せつけてくれる。

7位は「ホビット 思いがけない冒険」だ。
この映画も長かった。
しかも3部作の第1話である。
だが個人的には「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズよりも単純明快で面白いと思った。
次回作もすぐに公開されるので楽しみである。

8位の「利休にたずねよ」は、12代目市川團十郎が亡くなった時に話題になったものの、映画公開時にはそれほど話題にならなかった。
しかし映画は非常に密度が高い作品だ。
どうしても海老蔵にヒールのイメージが付いてしまっているので仕方ないかもしれないが、いい映画が評価されないのは残念である。
若い人にはイマイチ理解できないかもしれないが、この年になるとこういう静かな映画の奥深さが胸に沁みる。


9位は「TED テッド」だ。
日本語版のテッドは有吉が吹替えを担当、それも面白さにプラスになった。
単純な下品な映画かと思いきや、途中からストーリーが急展開してきちんと映画として仕上がっている。
この映画も笑いあり、涙ありで巧くまとめられていた。

10位は「ラストスタンド」。
シュワちゃん主演の割にはこの映画もあまり話題になっていない。
だが、シュワちゃんがあたかもクリント・イーストウッドのような、老保安官の渋い演技を見せており、現代の西部劇としても見応えがある。
今後、シュワちゃんはこの路線もアリかもしれない。

例年ベスト10までは邦画が多くなる傾向があるのだが、今年は3本しかなかった。
ただ、11~20今では邦画が7本になっている。


11.かぐや姫の物語
12.風立ちぬ
13.舟を編む
14.グランド・イリュージョン
15.そして父になる
16.レ・ミゼラブル
17.モンスターズ・ユニバーシティ
18.箱入り息子の恋
19.地獄でなぜ悪い
20.さよならドビュッシー


11位と12位がジブリ作品、個人的な好みで「かぐや姫の物語」を上にした。
どちらも非常にいい作品であるが、3DCGバリバリ全盛のこの時代に、水彩画のようなタッチの描画でアニメを作った点を評価したい。

13位は「舟を編む」。
松田龍平が静かな熱演を見せてくれる映画だ。
自分も作る側にいるからかもしれないが、本の制作にどれだけ情熱が必要か、そして裏側にどれだけ人間ドラマが隠れているか、そういう部分をきちんと描いている。
編集を経験した人ならば、「一見の価値アリ」である。

14位の「グランド・イリュージョン」もあまり話題にならなかったがなかなか面白かった。
この作品も人によって評価は分かれるとも思うが、最後まで誰が黒幕かわからないように、いろいろと細部まで気を配って作られた作品で好感が持てた。

15位の「そして父になる」は、タテマエではなくホンネで作られていた部分がよかった。
個人的には15位だが、一般受けする映画である事は間違いないので、各映画賞を総ナメする可能性もある。
ただ助演女優賞だけは、尾野真千子と真木よう子で票が割れて取れないかもしれない。

16位の「レ・ミゼラブル」もよかったが、上映時間が長いうえにテーマも重いので、観終わった後かなりグッタリするのでやや評価を下げた。
作品としては作りこまれているのだが、映画館で観るにはそこそこの体力と覚悟が必要である。

17位は「モンスターズ・ユニバーシティ」。
「モンスターズ・インク」の前日譚であるが、マイクが落ちこぼれだったという点がいい。
決して教条的ではなく、ダメなものはダメだけど諦めなければいつか花が咲くという部分は、世界共通なんだと思った。

18位以下の3作品はとてもマニアックな作品だ。

18位の「箱入り息子の恋」は、この時代にこんなピュアな恋愛があるかという映画だ。
それでもそれが逆に新鮮で、観ていて心地よかった。
個人的には、息子の将来を案ずる平泉成と森山良子の両親に共感した。

19位の「地獄でなぜ悪い」は、AKBの大島優子が観て気分が悪くなったという作品だ。
園子温作品だけに過激にバンバン人が死んでいくため、その気持ちもわからなくはない。
ただ基本的にナンセンスな作品なので、映画全体に悲壮感がない。
そして、8mmカメラ片手に撮影のためなら何でもする「映画バカ」が主題となっている。
あまりにも「映画バカ」過ぎてリアリティはほとんどないのだが、8mm映画を制作した経験がある人なら少なからず共感できる部分があるはずだ。

ラストの「さよならドビュッシー」は、映画として考えればかなり酷い出来の作品だ。
最たるは主人公岬洋介の絆創膏の位置が、カットによって顔の右になったり左になったり入れ替わっている事である。
記録係はもちろん、誰も気付かなかったのかと突っ込みを入れたくなるし、それ以前に劇場で公開するなら撮り直すだろうと思う。

それでも評価したいのは、岬洋介を演ずる清塚信也のオーラが凄かったからである。
本職はピアニストなのだが、この人のピアノに対する情熱がスクリーンからビンビンに伝わってきた。
ピアノ以外の演技でも、決して巧くはないのだが人を引き付ける何かを発していた。

監督は利重剛なので、いい加減な作品を作るとは思えない。
思うに上記の映画としては致命的なミスも、清塚信也の凄い演技に魅了されて、撮り直しをしなかったのかもしれない。
あるいは撮り直した方の演技がイマイチだったので、あえて絆創膏の位置の間違いには目をつぶって最初のフィルムを使ったのかもしれない。
いずれにしろ、映画全体から感じたパワーで20位にした。

この他にも「脳男」「真夏の方程式」「許されざる者」「REDリターンズ」「キャプテン・フィリップス」あたりもかなり面白かった。

今年も何本観られるかわからないが、無理せずできるだけたくさんの新作を観ていきたいと思う。



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by ksato1 | 2014-01-09 07:07 | 映画 | Comments(0)