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「動物の狩り方」

知る人ぞ知る能年玲奈の初主演作品だ。
と言っても劇場公開されていないので、見た事がある人はほとんどいないだろう。

VIPO(映像産業振興機構)という文化庁から事業委託を受けている団体が企画した、「ndjc:若手映画作家育成プロジェクト」で2010年に森英人という監督によって制作された作品である。

上映時間は30分、小さい頃に父親に母親を目の前で撲殺され、自分も殺されそうになった主人公の美由紀を、能年玲奈が演じている。
内容は、美由紀が山の中で野生動物を狩ってひっそりと暮らしている菊池と言う男と出会い、彼にどんどん引き込まれていく。
だが、正体不明の男の元に通う美由紀を心配したかつての親友が、菊池の事を警察に通報したため彼は住処を追われてしまう。
美由紀は菊池を探して山の中をさまようが、発見した時には菊池は虫の息だった。

「あまちゃん」の時の天真爛漫な笑顔を演技と異なり、終始暗く押し殺した演技が続く。
そしてラストでは、美由紀自らが動物を殺してさばくシーンになる。
若手作家の実験的プロジェクトという事で仕方ないのかもしれないが、意味がよくわからずとても暗い作品である。
美由紀自身が、母親を殺した父親のように動物を殺す欲求と衝動を隠し持っている事を表現したいのかもしれないが、その部分がクリアになっていない。
菊池がいない場面で血を見てドキドキするなど、美由紀の内面を描くシーンがもっと必要だったのではないだろうか。
内面のシーンが、自分をも殺そうとしている父親のシーンだけなので、美由紀が恐怖を抱いているのか、あるいは美由紀自身が動物を殺す衝動を持っているか、区別がつきづらい。

能年玲奈を抜擢したと言う部分で監督の才能が垣間見られるかと思ったが、能年玲奈の良さがまったく表現されておらず、映画全体にも唸らせられる部分がなかった。
正直、もうちょっと面白いかと思っただけに残念。
非常に厳しい言葉になるが、次回作も期待したいとは思わなかった。


90.動物の狩り方

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by ksato1 | 2013-12-09 07:00 | 映画 | Comments(0)