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「伏 鉄砲娘の捕物帳」

もう1カ月以上前に観た作品だが、出来が悪かったので後回しになってしまった。
予告編を観たときに、なんとも言えない絵柄と色合いに惹かれて、かなり期待して観に行った。
だがズバリ言って、丸っきり期待外れだった。

このCG全盛の時代において、バックの絵がやたらとスタティックである。
そういう部分では「鉄コン筋クリート」に近いかもしれない。
輪郭線がやたら太くはっきり描かれている部分で違いはあるが、それでもなんとも言えない心地よさを感じた。また舞台は江戸、なかでも吉原のシーンが多いのだが、色の使い方も悪くない。
吉原の賑々しい感じがよく表現されている。

しかし脚本がまったくダメだ。
全編を通して何が言いたいのか、何を表現したいのかがサッパリわからない。
スポンサーから横槍が入ったのか、あるいは制作者がケンカ別れして中途半端になってしまったのか、理由はわからないが劇場公開する作品とは思えない酷さである。
絵柄からして子ども向けの作品かと思ったが、実際に観てみたら大人向けの内容だった。
だが、大人が満足する内容ではない。

主人公の浜路は祖父と山奥で猟師として暮らしていたが、祖父の死後兄の道節に呼ばれて江戸に上る。
江戸では「伏」と言う犬と人間のハーフの一族が暴れまわっており、その懸賞金目当てに道節が浜路を呼んだのだ。
で、ここから伏と浜路の心の交流が生まれ、人間と伏が共存する道を探すとか、そういう展開になるのかと思いきやそうではない。
では、伏の誕生による因縁を浜路が解消するのかと思いきや、そうでもない。
最初から最後までドタバタ騒動がずっと続き、どこかにクライマックスにつながる伏線があるかというとそれもない。
ストーリーが進むごとに登場人物が増えるが、特にキーとなるキャラもいないため、メリハリのない非常にのっぺりした作品になっている。
クライマックスの盛り上がりと呼べるシーンも何もない。

冒頭にさも意味ありげに「因果応報」の説明がなされるが、「因果」についてのオチもついているとは言えない。

唯一褒められるのは絵柄だけという作品だった。

126.伏 鉄砲娘の捕物帳
by ksato1 | 2012-12-27 00:42 | 映画 | Comments(0)