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久しぶりのギンレイ

久しぶりでギンレイに行く。
この3カ月くらいは、忙しかったのと行きたいと思わせる映画がなかったため足が遠のいたが、今回は「マーガレット・サッチャー」が上映されるので頑張って行った。

その前に併映の「おとなのけんか」。
元々は演劇用に作られたストーリーを、ポランスキーが映画にした。
ジョディ・フォスターとケイト・ウィンスレットが出演している事もありちょっと期待していたのだが、正直厳しい内容だった。

ストーリーは、まさに「おとなのけんか」だ。
子ども同士のケンカでケガを負わせたしまった事により、加害者の両親が被害者の家にお詫びに行くというシチュエーションである。
最初はお互い紳士的に話を進めているのだが、加害者の父親が弁護士で、たまたまその日に大きな事件が起こったため終始携帯が鳴りまくる。
無作法に携帯でしゃべる父親のせいで、場の空気がやや緊張し始めるのだが、妻がそれをたしなめてなんとか丸く収まりそうになるものの、今度は場を和ませようとした被害者の父親の気遣いが仇となり、だんだん気まずい雰囲気が強くなってくる。
そして加害者の母親が緊張に耐えきれず、いきなり部屋の中で嘔吐する。
そこからは、4人がそれぞれ他の3人をかわるがわる非難しまくる。

元々が演劇用の台本であり、映画の舞台も被害者の家の室内とエレベータホールのみである。
そこで4人が本音でののしり合うのだが、それ自体はなかなか面白い。
特に被害者の母親がゲロを吐くあたりは面白い。

ただ、同じ画面で登場人物も同じ、それが90分続くとやはり途中で飽きが来る。
役者の演技力でかなり見せてはくれるものの、基本的にはシーンの切り替わりもなく、テンポもほとんど変わらないので、観ている方の集中力が続かずダレてしまう。
たぶんそれは私だけではないと思う。

発想は面白く、脚本、演技力ともいいのだが、やはり映画として見せるためのもう一工夫が欲しかったところだ。
ワンテーマで押し切るには、ちょっと無理がある設定だったのが残念。


続いて「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」。
これは観ていて辛かった。
サッチャーの回顧録的な映画かと思っていて、当然そういう部分もあるのだが、基本的には現在の認知症に苦しむサッチャーの姿を表現する映画である。

サッチャーは実際に認知症で、現在はほとんど表舞台に出てこないそうだ。
なので、この映画がどれだけサッチャーの実像に近いのかは分からないが、映画の中のサッチャーは常に亡き夫と会話をする設定になっている。
その夫との会話の端々から、彼女が活躍した時代を振り返るという展開なのだが、メリル・ストリープの熱演もあり、現在の認知症のサッチャーが痛々しくて仕方がない。
鉄の女と言われ豪腕をふるい続けた宰相が、現在はこういう状態なのかと思うとそれだけでショックである。

ただ、フォークランド紛争も含め、経済の立て直しなど彼女がイギリスに与えた影響や、それ以前の若き日の挫折と夫との出会い、家族をほとんど顧みなかった葛藤などはちゃんと描かれている。
だから映画としては、きちんと作られていると言っていいだろう。
イギリスではサッチャーの認知症という話は誰でも知っているのかもしれないが、そういう前提の知識がなかった状態で観たため、そちらの印象の方が強くなってしまった。

面白かったけど、ちょっとインパクトの強すぎる作品でもあった。


85.おとなのけんか
86.マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
by ksato1 | 2012-09-28 09:06 | 映画 | Comments(0)