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「トータルリコール(2012年版)」

シュワちゃん版の「トータルリコール」がイマイチの評価だったためか、この夏あまり話題に上っていないコリン・ファレル版「トータルリコール」。
でもこの作品、結構面白い映画である。

今回の「トータルリコール」は、設定がかなり変更されている。
まず、火星が登場しない。
21世紀末の大戦で地球のほとんどは住むことができなくなってしまい、人類が住んでいるのは現在の西ヨーロッパのブリテン連邦と、現在のオーストラリアのコロニーだけだ。
どちらにも政府があるが、実質上ブリテン連邦がコロニーを支配している形になっている。
我々が想像しがちなスタイリッシュな近未来の街並みであるブリテン連邦に対し、コロニーはやっぱり我々が想像しがちな近未来のスラムの様相を呈している。
ブリテン連邦とコロニーは地球の内部を掘って作った「フォール」と呼ばれる巨大エレベータで結ばれ、コロニーの住人は毎日このフォールに乗って、地球の裏側のブリテン連邦の企業に働きに行く。

主人公のクエイドはコロニーの住人で、やっぱり毎日フォールに乗ってブリテン連邦にある工場に働きに行っていた。
ある日トータルリコール社の広告を車内で見かけ、記憶を買いに行くのだが、そこでトラブルに巻き込まれてしまう。
そこから、彼の記憶をたどる戦いが始まる。

火星が登場しない他は、前作の「トータルリコール」に近いストーリー展開である。
ただ大ボスがコーヘイゲン、中ボスをローリーにしてリクターを省略しているため、物語全体は前作よりわかりやすくなっている。
CGやアクションシーンも、かなり頑張っていると思う。
特に中盤の、上下左右に動くエレベータでのバトルはなかなかの迫力物だった。
全般的に見て、及第点と言ってもいいだろう。

ただ、物理的、科学的に見て「トンデモ」な部分は多い。
例えば地球の内部に落下するフォールは、理論上は大気圏突入よりも速いスピードで摩擦熱も激しいはずなのだが、クエイドとメリーナは動いているフォールの外に防護服なしで出たりしている。
また、CGが作り込まれてなかなかいい世界観になっているのだが、どこかで見たようなシーンが多い。
雨が降っているコロニーは「ブレードランナー」を彷彿させるし、ブリテン連邦の軍隊シンセティックは、スターウォーズのドロイドとストゥーム・トゥルーパーを足して2で割ったような動きである。
プロットもやや甘く、ブリテン連邦は経済的にも政治的にも事実上コロニーを支配下においているのに、さらに軍隊を進める意味もよくわからない。

とは言え、B級SFとしてはまずまずの作品である。
「トータルリコール」について何の知識もない中高生が観たら、素直に感動するんじゃないだろうか。
ただ逆に言えば、そのレベルの作品と言えなくもないけど。
個人的にはシュワちゃん版よりはわかりやすくて面白かったかな。


73.トータルリコール(2012年版)
by ksato1 | 2012-08-27 20:38 | 映画 | Comments(0)